ヴァスホート

あぁ〜、しんどかった

 写真の印画というのはなぜ縦横比に変化を持たせたのでしょうか、レンズという正円のガラス体に光を通して画像を焼き付けるわけですから像自体本来は円形、いわゆるイメージサークルというやつです。
これを目一杯有効利用しようすれば、丸い画像が得られるはずです。しかし、それでは何かと都合が悪いし整理が付かないというのであれば縦横比は1:1が理想的なはずですね。
 ですから二眼レフに採用されたようなスクエアフォーマットはムダのない有効な手段だったわけです。しかし、これは主流とはなりえず専ら、2:3という比率が定着してしまったのはどうゆう訳でしょう。
 人間の視覚というのは、縦横を認識したいという生理的な欲求があるのですね。
 この2:3という比率はかなり長辺が長く、ギリギリの制約を受けて作ってあるレンズでは周辺の解像や光量がガクッと落ちる物も多いのはご承知の通りです。
 そしてまたこの2:3という比率は私達の視覚にとってもバランスが悪く、あまり心地の良い縦横比ではありません。
 矩形については中学の美術で習った「黄金分割(1:1.618という中途半端な数字)」というヤツが一番生理的に気持ちの良い形らしいです。あのハガキの比率が正にそう、写真屋さんなどでプリントして貰う場合のL判というやつも大体この比率に近いです。
 ですから自家現像をしてみると判りますが、写真屋さんでプリントを依頼すると左右がかなりカットされて仕上げられちゃいます。
 この2:3の比率を持つカメラ(ライカ判やブローニーの69判)を使っていて生ずる問題が横位置で撮るか縦位置で撮るかの決断。
 ファインダーを覗きながら余計な写り込みを整理しつつ横にして構えたり縦にして構えたり・・・、皆さんもよくご経験があることと思います。
 しかし、この広い世の中には、写真とは必ず縦で撮るものと決めつけて作っちゃったカメラがあるのです。
 この思い込みは一方的すぎやしませんか、と言いたくなるのですがそんな注文は一切受け付けてもらえないのです。
 ここまで書けば察しの良いお方はもうお判りでしょう。そうです、かのソビエト連邦共和国が生み出した「ヴァスホート」(中村陸雄さんの本によると「日の出」と言う意味らしい)がそれです。
 ストラップを着けて首から下げた段階でもうガッチリ縦位置使用を前提としているのだよ主張してきます。
 まず、各リングの目盛りが縦でホールドして合わせ易いような配置にしてあります。そしてファインダーですがこれも縦構えだと実にスムース、無理して横位置でホールドしようものならストラップが非常に邪魔になります。
 その他巻き上げレバーやレリーズボタンなど縦位置で使う分には非常に取り回しがよく、使い易いのですが・・・。
 まぁ、このカメラに限らずソビエトのカメラって作り手側の一方的な押しつけで成立しているところが凄いですね。
 そこへいくと我が日本のカメラはもうお客様様々・・・お客の無理難題をドンドン聞いちゃう。更に、折角開発したのだからと技術屋さんのマスターベーションまで載せられちゃって、訳の分からない機能てんこ盛りのカメラが溢れ出ちゃいました。

 レンズは例によって「ロモT-48」。
 おぉ〜、何とキレのある尖鋭度、おぉ〜、何と麗しいボケ方!このロモのレンズは総じてキリリとした尖り方の尖鋭度が特徴ですね。ジィ〜ッと見つめていると眼が痛くなるほどです。
 ズイコーレンズも同じ様な絵を提供してくれますが、アウトフォーカスは残念ながらこれほどの美しさを演出してくれないでしょう。実に見事なものです、こんな優れたレンズを作ったソビエトという国はどれほど有能な頭脳をもった設計者が居たのでしょう。
 これなら作り手の方でも胸を張って主張できますわ、「お前らはつべこべ言わずに黙ってこれを使っておけ!こっちはちゃんと良い物を造ってやったんだから」と。ソビエト物に関しては謎が深まるばかりです。
 今回は、どうも曲がった臍が災いして、半分は強引に横に捻り倒して使ってみました。
 もちろん写真は撮れましたが・・・「あぁ〜、しんどかったっ」(星野監督を気取ってンじゃネェー、このバカ!)

天地左右が実に曖昧、何なんだぁ〜コレは!

2003.11.18

 

ヴァスホートの作例です。


以下の写真は、NEOPAN SSをエヌエヌシー社のND-76で標準現像処理。
Nikon Coolscan IVでネガフィルムを直接スキャニングした画像です。

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ここからは正しい?使い方

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