Mamiya Sketch

まる・まる・まんまる

 これは「マミヤ・スケッチ」というカメラです。
 マミヤ・スケッチ・・・い〜い名前ですねェ。
 軽やかで、ステキな写真が撮れそうでしょ。質と実に重きを置いてきたマミヤとしては、ごく普通の人々に近づこうとした表れかも知れません。
 同じ様な印象の名前を持つカメラ、例えば、ミノルタ・メモ、オリンパス・ペン、ヤシカ・ダイヤリーなどなどありますが、どれも記録するんだゾォ〜という姿勢が優先みたいで、なにか堅い印象があるのですが「スケッチ」というと自由で奔放、ど〜んなスタイルでもいいからネ、みたいな気軽につきあえる印象があります。

 実はこのカメラ、”欲しくて欲しくてしょうがないカメラリスト”のNo.3くらいにランクされていた私にとっては「喉から手」のカメラだったのですが、ショップではかなりの高値、ほとんど諦めていたカメラでした。
 なぜ、高値になるかというと、個体数が非常に少ないせいもあると思いますが、マミヤ・スケッチは日本で最初、いや世界で最初かも知れない小型カメラの始祖なのです。
 実際に皆さんにも手にとってご覧頂きたいのですが、どれほど小さいかというとですね、あのオリンパス・ペンよりも小さいんです(横幅が105ミリで幅で3ミリ、ペンより小さいんです)。
 それがある日、実にあっけなく、近所のカメラ店のショウケースからポッと目の前に現れた。
 最近は、興味の惹かれるカメラがあっても、以前のように、なりふり構わずと言う強欲な姿勢は無くなってしまい、「まぁ、縁があれば、そのうち出会えるでしょ」みたいなジジイ臭い姿勢に変わってきました。
 このことは未知なるカメラへの情熱が冷めたと言うことではなく、むしろ情熱は更にメラメラと燃え上がってはいるのですが、カメラも女性と同様に縁が無いといくら足掻いたり藻掻いたりしても、お近づきになれないということが、少しづつ分かってきたからなのです。

 さて、この「スケッチ」をじっくり見てみることにしましょう。
 先にも書きましたように、なぜ、このカメラが小型カメラの始祖かというとですね、1959年の5月に誕生しているんです。それ以前にはこんな小さなカメラは存在していませんでした。オリンパス・ペンも1959年に初号機を出すんですが、5ヶ月遅れの10月のことだったのです。
 カメラのコンセプトとしては両機は正反対。ペンは操作部や部品を極力、簡略化して価格を下げ、誰にでも親しめるカメラを目指しましたが、こちらは、今までの35mm距離計つきレンズシャッターカメラの機能をどこも間引かず、ギューッと凝縮させた仕上がりになっています。
 レンズにはマミヤ・セコールの35mm/f2.8(3群4枚)、コパル製のシャッターにはバルブもちろん、1秒の低速から8段階を経て1/300秒まで切れる本格的なものが奢られていますし、極め付きはセルフタイマーまで手抜かり無く搭載されています。さらに、シューまでは付いていないのですが、フラッシュが使えるシンクロターミナルまでちゃんと装備されています。
 ですから、操作はまったく普通のマニュアルカメラ。この点が、逆に作用して初心者や女性に嫌われてペンのように大ヒットしなかった原因なんでしょうね。

 小さいということで、ペンとの比較で話を進めてきましたが、画面サイズはハーフ判かというと、そうじゃない、24ミリ四方(正方形)の写真が撮れるんです。
 このことも今となっては面白いでしょ、この矩形画面というのはタテヨコ同じですから、常にカメラを水平にして使うことが出来ます。通常の35ミリ判に慣れた目には戸惑いがあるかも知れませんが、まっ四角の中で創る絵も新鮮な感覚を導き出すかもしれません。
 それでは、フィルムを詰めてどんな絵が出来るか早速試してみましょう。しかし、きょうは朝から生憎の雨、仕方がない、傘を共に出掛けましょう。

 このカメラは上の写真でもお判りのように、絞り環がレンズリング前面に付いています。これは操作をする側にとっては、やや面倒です。たかだか15ミリほどの出っ張りしかない鏡胴にフルレンジのシャッターを組み込んでしまったので、仕方がないことかも知れませんが・・・。
 しかし、この絞りの羽が実に立派なんです。開放での直径は13ミリほど、最小絞りのf16では直径が2ミリほどの小穴になるんですが、これがどの絞り値でも見事に正円!
 何とこんなに小さな絞り装置に12枚もの羽が仕込んであるんです、やっぱ、うれしいナァ〜。
 絞りの形状というのは、やはり丸けりゃ丸いほど上等感というか安心感がありますよね。ま〜るいレンズを通って来る光を四角や、はたまた鳥が飛んでいるような訳の分からない形の絞りって、どことなく納得がいかないんですよね。
 ファインダーを覗くと、オレンジ色に輝くブライトフレームもハッキリクッキリ、二重像もハッキリクッキリ、実に快調です。また、シャッターを切ったときの音がいいですねェー。形(なり)は小さいのですが、カシャと結構大きな音がします。両手でくるみ込むように構えてレリーズしますが、その手の中でも、しっかりとしたシャッターの鼓動を感じることが出来ますよ。

 というわけで、雨にも拘わらずサァ〜ッと1本撮ってみましたが、使い勝手は上々。これで撮れた絵もスケッチするがごとくサラァ〜ッと上々なら120パーセントの大満足なのですが・・・。
(24枚撮りのフィルムを使用すると、36カットは充分いけます、私は端から端までギリギリ使いましたので、38コマ写っていました。)


「サンケイカメラ」1959年6月号の広告
JFC会友のharikyu氏よりご提供いただきました

2004.6.21


Mamiya Sketchでの作例です

以下の写真は、モノクロはFujiのアクロスをエヌエヌシー社のND-76で標準現像処理
カラーはコダックG200を純正現像
Nikon Coolscan IVでネガフィルムを直接スキャニングした画像です。

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7. 本郷・万定
もともとは、本郷通に面して(赤門のそば)、果物屋さんを営んでおられましたが、
現在は、その裏でフルーツパーラーのような食堂をしています。
この建物は明治末期の建築。

8. 東京市営真砂住宅
震災後の大正12年、本郷に建てられた市営住宅。
マンサード屋根のかかった市営住宅現在では2件しか残されていない。
たくさんあったころはそれなりに異国風の文化を感じたものだったことでしょう。

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