SEMI PROUD

70年後の発見

 これは「セミプラウド」というカメラです。
 
上のタイトル写真をよ〜くご覧ください。(小さく不鮮明でゴメンナサイ)このカメラがどこの国で造られたものかお判りになりますか?
 シャッターパネルには「PRONTOR II」とあります。
 レンズリングには小さな刻印ですが、「C. Friedrich, Munchen. Corygon-Anastigmat」って彫られています。
 プロンター?、フリードリッヒ?、ミュンヘン?、コリゴン?・・・・。
 これらの名称を手掛かりにすればもう誰だってドイツ製だなとピンと来ますよね。しかし答えは「ブッ・ブ〜〜」なのです。
 「えっ、間違い!そんなわけはないよ」と誰だって思いますよねぇ、それじゃぁチェコあたりかな、いえいえそれも間違い。
 実はこのカメラは紛れもないメイド・イン・ジャパンなのであります。
 今を遡ること67年前、1936年(昭和11年)に日本のプラウド社が製造したカメラなのです。ホンマかいなぁと思われたでしょうがホンマなんです。

 当時、ことスプリングカメラに関しては一にイコンタ、二にバルダックス、三にウェルタと何と言ってもドイツカメラへの憧憬が高まっていた時代で、純国産品のカメラ達はこれらドイツカメラの模倣に躍起になっていました。
 形骸こそそっくりに真似が出来たもののカメラに対する基礎理論をはじめ、材質や加工、性能は遠く及ばず、結果ますますドイツカメラへの憧れは強くなるばかりであったわけです。
 そこでプラウド社の社長は頭を捻ったんでしょうね、「幾ら努力をしてみてもドイツの光学理論と工作技術には追いつけない、こうなったらいっそのことカメラの心臓部はドイツから買ってきちゃえ」と。
 これはあくまで推測ですが・・・。
 この商売のやり方っていまだにやってますでしょ、ソニーやパナソニックのデジカメに「ツァイス」や「ライカ」ブランドのレンズを使ったりしているあれです。
 もっとも当時は切実にドイツの高性能を欲しがったものでしょうが現在の場合はブランド信仰による価値付けのメリットを狙ったものという違いはありますが・・・。
 日本人は未だにレンズに関してドイツコンプレックスがあるんですかねぇ、確かに日本の現代レンズは各メーカーとも同じ様なコンピュータソフトを使ってせーので造るものだから、全て横並びで同じものが出来ちゃうんですね、レンズの味なんて望むのは無謀な要求なのでしょうか。
 この風潮、そろそろ反省してくれないかしら。それとも我々ユーザーは横並びレンズを使うことで安心を得たいのでしょうかね。

 さてこの「セミプラウド」ですが、作りというかレンズの展開形式は「バルダックス」に範と採っているようで、タスキ金具の形状や開き方がそっくりです。
 スプリングカメラの王者といえば何と言っても「イコンタ」ということになるのですが、ことレンズの固定形式に関しては「バルダックス方式」が頑強でガチーンと固定された後のしっかり感はイコンタより上級ではないかと私は思っています。

 形や来歴はこのくらいにして、早速撮影してみましょう。一通りモノクロとカラーで使ってみたのですが、下の作例をまずご覧ください。
 今回注目していただきたいのはカラーの方です。再度、書きますがこのカメラは約70年前に作られたトリプレットレンズの目測カメラです。勿論3枚ともガラス玉のみでコーティングなどはまだ発明される以前のレンズなのです。
 また1枚1枚熟練された職工さんの手磨きで研磨されたものであることも付け加えておきます。(これはどうしても均一性に欠けますから製品のばらつきに直結してきます)
 下のカラー作例はコダックE100VSを使ったものですが皆さんどう思われますか。現像が上がってショップのライトテーブルで最初にこのポジを見たとき、思わず店員さんが他の人のフィルムと間違えたんじゃないのかと思いましたよ。
 しかしよ〜く見ると確かに昨日自分で写したシーンなんですね。
 いやぁ〜コントラストや彩度、発色と見事に映し出されています。web上では判りにくいのですが、RGBの滲みがほとんど見えません。
 この時代のレンズはカラーでの使用なんて想定すらしていませんので、RGBの色収差に関しては全く考慮されていないはずです。ですからもしかすると偶然の重なり合いかもしれませんが、実に素晴らしい結果を出してくれました。


 このセミプラウドというカメラは、さほど名を残したカメラではありませんし、フリードリッヒのコリゴンというレンズもどちらかといえばマイナーな部類のレンズでしょう。
 しかし、このような歴史の縁に埋もれたカメラを使って素晴らしい体験が出来たとき、あぁ〜古いカメラ達と付き合う趣味を持っていて本当に良かったと実感できるのであります。
 

2003.8.11

 

SEMI PROUDの作例です。


以下の写真は、モノクロはプレストをエヌエヌシー社のND-76で標準現像処理。
カラーはKodak E100VSを使用
Canon D2400Uで直接スキャニングした画像です。

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