海鴎

大陸のカモメ

 このカメラ、中国製という以外、詳細は全く知らない。
 購入の動機はただ一点、軍艦部上面 に丁寧に彫り込まれた「海鴎」という漢字のロゴを見て衝動買い。
 このインパクトは強烈だった。
 フランスで発明され、ドイツで育った写真機という西欧文化の凝縮された機械に二文字の漢字が張り付いているミスマッチにクラッときてしまった。
 またこの字が凄い達筆でほれぼれする書体なのだ。
 蛇腹のスプリングカメラにこれが妙に似合っていて独自の雰囲気がある。アジアンテイスト丸出し。もしこれが一眼レフのペンタ部に張り付いていたらさすがに敬遠したと思うが。
 機構や機能については、ドイツや日本製のこの手のカメラを基準に語るのは、土俵が違いすぎてフェアではないし、意味もないので一切見ないこととする。
 勿論、写真機としての機能は充分果たしていて、極々普通にブローニーフィルムに像を定着させてくれる。
 中国の人々が家族の記念日や、村の催事などを撮ることを目的としたならばこれで十分なはずで収差がどうの、発色がこうのなんてことは論外のことである。
 距離計がずれている、巻き上げがいつまでも止まらない、なんて小事は大陸の人々は気にしないんだね。
 そういうもんだと思えばそれで済むことなんだから。実におおらか、実に大まか、実におおざっぱ、そして実に大陸的。

 さて、このカメラで1枚の写真を撮るためには、
  1、軍艦部上面中央の小さなボタンを押して、レンズを出す。
  2、赤窓を覗きながらフィルムを送っていき数字がセンターに来るようセットする。
  3、絞りを決める。
  4、シャッター速度をセットする。
  5、シャッターチャージレバーを押し下げる。
  6、ピントを合わせる。
  7、シャッターボタンを押す。

 という7つの作業が必要で、チーズ顔でポーズしている彼女を、いい加減待たすことになる。
 せっかちな日本人には、決して向かない大陸的カメラ。間違ってもデートなどに持ち出してはいけない。
 漢字文化圏の中にある、日本の各メーカーもモノによっては、漢字のネーミングを冠した商品があってもよいのではないだろうか。
 生産数の7割以上を欧米への輸出に頼るなら尚更だ。
 スズキの大型バイク「隼Hayabusa」だって受け入れられているし、Canon「接吻」、Minolta「甘美」、Nikon「優」なんてどうだろ・・・。やっぱり変か!

 

 

75mm, f3.5のレンズ周り。手前の薄いギザギザリングは前玉 回転式のフォーカスリング、3つのレバーの左が絞りレバー、右端がセルフタイマーセットレバー、真ん中はシャッターチャージレバー、次のギザギザリングは速度設定リング、先端は距離表示リング。巻き上げを忘れると何回でもシャッターが切れるので、多重露光はいとも簡単。というよりそれによる失敗をいつもしていて1本撮ると必ず2カットぐらいは心霊写真のようになっている。
感光面の左右に黒い扉が付いていてそれで塞ぐと6×4.5版、開けると6×6版になる。フィルム巻き上げにはストッパー機構はなく、赤窓の数字を頼りに慎重に巻き上げて使う。人間の五感と記憶をフル回転させて使う脳力回復カメラ。

 

海鴎203-1を使ったみました

発色は地味でしっとりした感じ。f8まで絞っているが、
端は流れてしまうし、アンダー部も潰れてしまう。
リコーHI-COLOR35の試写に掲載してあるススキの写真は
この写真と同じ日に撮ったものだが、
写りにこれほどの差が出るとは思わなかった。

折角ブローニーを使っているのだから、
もう少し解像してもらいたいのだが・・・。
上の写真も同様だが、遮蔽板を使って6×4.5にして使っている。

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