Ricoh ELNICA F

君にはプライドというものがないのか!

 昨年、リコーが断行した銀塩カメラの撤退に続き、コニカもミノルタと統合してカメラの製造を止めてしまうようで、寂しい限りの今日この頃であります。
 リコーは昭和の初めより、コニカに至っては明治期に日本で最初に写真機を製造した会社です。伝統のあるこれらの会社が何故カメラを造ることを止めてしまうのか、それは一にも二にもカメラが売れないからでありますね。いや正確には銀塩カメラが売れなくなっちゃったからであります。
 両社とも、相当数の品揃えで誘客していたにもかかわず、製造を止めてしまうのですから、カラっきし売れなくなってしまったんでしょうね。
 さらに、そのことを象徴するように日本中のあちこちの商店街からカメラ屋さんが姿を消していることは、皆さんもお気づきのことと思います。
 たとえばアナタ、先日撮影し終えたフィルムの現像を何処に出しましたか?
 ネェ〜、街のカメラ屋さんではないでしょ、コンビニとか現像専門の何とかショップでしょ。
「オラァ、デジカメだからプリントなんか自分でしちゃうんだかんネ」・・・これですもん、カメラ屋さん潰れちゃいますよ。

 一昔前は、どんな小さな商店街でも写真屋さんの一軒や二軒は必ずあったものです。写真を撮り始めると最初は大概、操作の簡単なカメラから始めますが、少しでも向上心がある人なら直にその写りに飽きたらずもう少し複雑な機構と上等なレンズを持ったカメラを指向するようになるでしょ。そんな時の相談相手になってくれたのが、いわゆる写真屋のオヤジ。
 写真屋のオヤジというのは、大体が写真が好きで商売を始めるんですね。ココが他のお店やさんと少し違うところ。お菓子屋さんや金物屋さん、文具屋さんなどは別に自分が売っているものが特別好きでなくとも務まるわけですから。
 まぁ、言ってみりゃぁ道楽商売のきらいがないわけでもありません。ですから好奇の心でこちらが質問などを持ちかけると待ってましたとばかり、商売そっちのけで懇切丁寧に教えて下さるオヤジさんがたくさん居ました。私が若い頃に使っていた多くの一眼レフやコンパクトカメラもオヤジさんの蘊蓄を散々聞かされて購入したものです。しかし、そのお陰もあって露出のなんたるやを覚えてきたのも事実です。

 ここから話の方向を例によって、チト曲げますから着いてきてくださいね。
 世にごまんと存在するカメラですが、こと日本のメーカーに関しては、そのネーミングにはなかなか苦労していたようです。それなりの商品にピッタリ填るイメージのネーミングが付いている場合は、お客も覚えやすいし、また名前の浸透の早いことは納得がいきます。
 特にカメラに関しては、フランスで発明されドイツで発展したものですから、日本のメーカーはどうしても首が西に向いちゃう。
 老舗の小西六はパール、レンズにはヘキサー・・・これは英語圏でも立派に理解できますね、さすが由緒の正しい老舗だけのことはあります。
 しかし、中には苦し紛れではないかと思わせるような、訳の分からないネーミングもありますよ。大概は会社の所在地である地名を基にしているだろうとは思うのですが例えば、お馴染みミノルタレンズの「六甲・・・ロッコール」、トプコンレンズの「志村坂上・シムラー」、大船光学の「大船・・・オフナー」この両者などは、そのまんまですが、日本人には何となく理解が出来るものの海外ではどんなものでしょう。  
 まぁ、一種の固有名詞ですから何でもアリなんですが、外国人の耳にはヘンテコに聞こえるでしょうね。

 今回、ご紹介するカメラは「リコー・エルニカF」。
 爆発的ヒットのコニカC35に追随した、まんまコピーカメラです。機能やサイズはもとより、各レバーやシンクロターミナルの位置までそっくりそのまま!レンズだけが40ミリとやや違っているだけです。(C35は38ミリ)
 異彩のデザインを誇ったオートハーフやオート35Vを生み出した会社の製品とはとても思えません。「キミにはプライドというものがないのか!」リコーに拘りを持っている私としては、実に情けないカメラなのであります。
 まぁ、いまさら泣きを入れもしょうがないので、先へ進めましょう。

 さて、この「エルニカ」というネーミングですが、これがさっぱり分からない。辞書を引いてもこんな単語は出ていないし、リコーが勝手に作った造語なんでしょうかネェ。エルニーなカメラで「エルニカ」かな?そんならエルニーってなんだべ?
 さらに、お尻におまけで着けた「F」も意味不明。よく、レンズの枚数をアルファベットで表示したりすることがありますが、コレは4枚ですので慣例に従えば「D」ということになっちゃいます。
 こんな調子で、どうにもこうにも、意味不明なのであります。これはもう、販売戦略としては失敗ですよ、商品のイメージがピッタリしてこそのネーミングなのですから・・・。
 どうもリコーの年譜を見てみると、70年代って不作の年代とでもいうのでしょうか、オリジナリティ溢れるリコーらしい製品が出ていないんですね。

 こぼしてばかりいてもしようがない、折角、お友達のhottyさんのご厚意で、小生の元に来ていただいた大切なカメラですので、本家本元コニカC35を視野に入れつつ、使っていくこととしましょう。
 ハッキリ言って、写り方まで、C35とそっくりなような感じがします。ハイカラー35で示すようなパキンと突き放すような乾燥したクセもありませんし、周辺光量も十分余裕がありますよ。
 うぅ〜ん、洗練されちゃいましたネェ、こなれちゃいましたネェ〜・・・。
 焦点距離が38ミリのC35、40ミリのエルニカF、アナタならどちらにしますか?

 後日、いつもお世話になっているレンジファインダーのビュッカー様から、エルニカの語源について教えていただけました。そのお話によると、エレクトロニックカメラを縮めて「エルニカ」としたそうです。うぅ〜ん、いかにもリコーの手抜き精神が発揮された命名であります。こうなると、エルニカFの「F」は4枚レンズを意味するFourの頭文字ですね、きっと。  

2004.8.30  


エルニカFでの作例です

以下の写真は、Kodak Gold 200を純正現像処理。
モノクロはプレストをND-76で標準現像しています。
Nikon Coolscan IVでネガフィルムを直接スキャニングした画像です。

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