UNIVERSAL(Lady's用)のレストアを試みる

相変わらず、集中力が乗ってくると古時計の裏蓋を開けて中身を覗き込んではニヤニヤしてます。
このところは、視力が少し向上してきたせいもあって、やや難易度の高いご婦人用時計に興味が・・・
今回、ボクのところにやって来てくれたのはスイスの老舗メーカー「ユニバーサル」の
機械手巻き式女性用金張り17石です。



今回、この時計はヤフオクから拾ってきました。
フリマなどでも、たまに時計が出ますが今となっては余程のラッキーに巡り合わないと
昔ながらの”機械式手巻き時計”に巡り合えることはまずありません。
そしてまた、ボクの場合は止まって故障している時計を動かすのが目的なので、
いくら古くても稼働品は用無しですし、万一、有ったとしても稼働品は
骨董的価値が付加されちゃうので、トンでもない値段になることもしばしば・・・
しかし故障品だと、たとえこのような名門時計でも、とくに婦人用となると、
ご覧のような信じられないような安値で落ちることもあります。
これは、この趣味の人の多くが男性ということに関係しているようです。
運良く修復に成功しても、男性用なら自分で使えますが女性用ではね。
でもボクの場合は、小ちゃな女性用でも長めのベルトに付け替えて、平気で着けて街を歩いてますけど・・・
ちなみに今回の場合、31円で落ちましたが送金手数料と送料の合計が落札金額の10倍も!(泪)



下の表がこの時計の商品情報です。
この出品者情報ではただ「不動品」ということしか分かりませんでしたので
一応、出品者さんへもう少し詳しいことを聞いてみました。
すると「ネジが巻き上がったままで、竜頭すら動きません」というお答え!
ボクが、知りたかったのは、実は唯一この点だったのです。



竜頭のゼンマイが巻き上がったまま動かないという症状は、90%がしばらく使用を停止したための
油固着が原因です。歯車が動かないのにさらにゼンマイを巻くので最後は
行き止まりまで行って竜頭まで固着してしまう!
こういう時計は、症状が分かった時点でほぼ8割方治ったようなものです。
要は、固まってしまった油を溶解してあげればいいだけのことですから。
逆にスルスル巻けるけど動かない物件というのは、要注意!
これまた90%がゼンマイ切れの疑いがあります。こうなるとゼンマイの交換しか
修復の見込みは無くなりますが、50年前の時計用ゼンマイなんて探すのは至難です。

それにしてもこの時計は、小さいですね!
よくもこんな一円玉ほど大きさに時を正確に刻むメカニズムを組み込んだものです。
いまは、まだ止まってしまって、ただの歯車のオブジェでしかありませんが
これが動き出すと”命が甦った”ようでちょっと感動しちゃったりするんですよね。

“ユニバーサル”というメーカーは、みなさんもよくご存知のように、とにかくトコトン「薄さ」に
こだわっているメーカーで、それは昔も今も変わりません。
その薄さたるや、もう“芸術品”の粋で、この時計の場合でもなんと厚さは5ミリしかありません!
いま、あなたがお使いの時計の厚みとぜひ比べてみてください。
手巻き式の機械時計で、5ミリというのがいかに薄いものかというのが理解出来ると思います。
全体のフォルムや文字盤のスタイルから判断すると機械式として後期の1960年代後半の
もののように判断しましたが、それにしてもスゴい技術力を持っていたメーカーです。

さて、それでは裏蓋を開けて修復です。
今回も「ベンジンのお風呂」に一昼夜浸かってもらいましたが、
しかし、それでも溶解せず頑として油は溶けませんでした。
どれほどの長い時間、停止状態で仕舞われていたのでしょう・・・
やっぱりスイスの油脂は固まっても優秀なのでしょうか、国産の場合だと
ベンジンに一晩浸けるだけで殆どが溶けて回り始めます。
で、仕方有りませんのでさらに溶解度が強烈な「CRCブレークリーン」を引っ張り出しました。
この溶剤は、かなり強いので時計によっては文字盤の印刷を溶かしてしまったりインデックスなどを
浮かせてしまったりしてしまうのでリスクを覚悟で使います。

ブレークリーンをスプレーすること5回!
ようやく固着油の溶解が出来ました。
やはり、最初の予想通り、古い油が除去出来れば生き返ります。
この場合の生返りの前兆としては、スプレーの回数に比例して「ガンギ車」の回転時間が
長くなってきます。一回目では2秒くらい、2回目では4秒くらい3回目では10秒くらい
という感じで、徐々に息を吹き返してきます。そうして、各軸の古油がギアの動きとともに
溶けて行き、最終的にはゼンマイパワーのある限りは回るようになります。
下の写真で”ガンギ車”が回りだしている様子が分かりますでしょうか・・・

こうして、24時間止まらずに動くようになったら、最後に早遅調整をして修復を完了します。


2015.2.28

トップに戻る  一覧へ戻る