心臓がやられちゃいましたの

 うん?何となく息が苦しい・・・・、ただ平坦な道をゆっくり歩いているだけなのに???
 あれっ、どんどん苦しくなるぞ、この辺り一帯の空気が突如として無くなってしまったのではないだろうか?しかし、すれ違う人は何気ない顔で平然と歩いているなぁ〜・・・。
 自分だけかっ!とにかく、空気がとてつもなく薄くなってしまったような感じ、こんな息苦しい感覚は今までに経験したことがないなぁ〜。
 あぁ〜、ダメだ、もう苦しくて一歩も歩けない!なんなんだぁ〜・・・どうしたんだぁ〜〜〜・・・・・。
 これが病気の始まりでした。その悪魔は素足で跫音もまったく立てずに突然、姿を現したのです。 なんの準備もしていなかったワタシは、そりゃぁもう狼狽えましたよ。

 その日の夕方近く、郵便物があったので200メートルほど先のポストに出向いたのです。しかし、50メートルも歩かないうちに強烈な息苦しさに見舞われました。それこそ400メートルを全力で走った後のような、しかし、鼓動はまったく平常でただ息苦しいだけという不思議な感覚です。
 「うむっ!苦しい!どうしたんだろう?」一歩、二歩と足を進めるうちに苦しさはどんどん倍加していき、とうとう歩くことさえ出来なくなってしまい、その場にへたり込んでしまいました。
 しかし、2,3分も休んでいると何事もなかったように楽になります。でも、動き出すとまたダメになるんですね。
 「こりゃ、おかしい!普通じゃないナァ〜?」
 わたくし、56歳のこの歳になるまで自主的にお医者様の所へ行ったことがない臆病な人間なのです。でも、今度ばかりは何だか命に関わりそうな「予感」みたいなものを感じました。そこで、近所にある医院に飛び込んだのです。一応の問診の後、心電図を録りますということになり台の上に横たわっていたのですが、医師はプリントされてくるグラフを見て怪訝な表情です。
 「うぅ〜ん?なによ、なによ、どうしたのヨォ〜、ヤバいのかナァ〜・・・・?」
 「ちょっと問題アリですね、お手紙を書きますから至急、専門の病院で再度診てもらってください」
 「心電図に問題とは、呼吸器ではなく心臓なんですか?」
 「多分そうです、循環器科というところにいってください、とりあえず、ニトロの薬を出しておきますからまた発作が起きたらそれを飲んで」ですと・・・。
 えぇ〜、心臓かよ、ニトロかよォ〜、やっぱりヤバいのかナァ〜・・・、心筋梗塞・狭心症・不整脈・弁膜症、アタマの中で知りうる限りの心臓病の名前がグルグルまわっています。


 しかし、こうなってしまった以上はビビっていてもしょうがない。ということで、翌日、先生に書いていただいたお手紙を携えて地元の国立病院へ・・・・。
 ここで胸の写真やら血圧・血液の良否など調べられた後、心電計に。送られてくるデータを睨んでいた看護士さんの表情がやや固くなっています。「まただよぉ〜・・・」
 「ちょっと、このままでお待ちくださいね、起きあがらないでね、いま先生を呼んできますから・・・」うん?事態は深刻なのかな?
 やがて、心電図のグラフを手に白衣を着た背のスラッとした若い女性が近づいてきます。心臓関係の専門医ですから、縁無しのメガネをかけた細身の中年男性というイメージを勝手に作っていたのですが、若い女医さんとは以外でしたね。そして、私の傍らに腰掛け、現況をお話ししてくださいました。それによると、私の心臓に酸素と栄養を送り込んでいる「冠状動脈」という太い血管のある箇所が狭窄していて心臓が充分に機能していないのだそうです。そして、その狭窄率は90パーセント(限りなく塞がっている状態に近い)にも達している可能性があること。従ってその狭くなった血管に血栓などが飛んでくると危険な状態になることなどをお話ししてくださいました。病名は「不安定狭心症」。
 こうして、わたしはこの場で起き上がることさえ禁じられ、寝たままの状態で即、入院となってしまったわけです。


入院直後の状態、ひどく落ち込んでいる

 さて、入院から一週間は薬剤で心臓と血液の安定化を図ります。そして、安定したところで「カテーテル造影検査」を受けました。結果はズバリ担当医師の見立て通りで、90パーセントの狭窄率まで当たっていました。

 そして、さらに一週間後、今度はこの詰まってしまった箇所を修復する「工事」を実施します。
 その手順は、腕の動脈からカテーテルという極細のワイヤーを通し、心臓の詰まった血管まで「風船」を導き膨らませます。そこで、ある程度血管を拡げた後に、「ステント」という金属製のネットを送り込んで拡張させます。これで、元の新品状態の直径に血管を戻そうというわけです。これらの一連の手術は、すべて腕の血管から細いワイヤーを心臓まで導いてやってしまうのですから、凄い技術ですね。

 その昔に見た「ミクロの決死圏」というSF映画を思い出しましたね。アレにかなり近いことが現実のこととなって、私のカラダの中で展開しています。もし、あの映画が封切られた30年くらい前にこの病気を発症していたら、こうして顛末記など記すことなく旅立っていたでしょうね。


手術後、CCU(冠疾患集中治療室)に戻って30分程したときの状態
このカタチのまま一晩過ごす、オシッコが大事になる

 ではなぜ、こんな悪魔に取り憑かれてしまったのか、ワタシの場合は以下のような因子があったものだと反省しています。
  1. 喫煙(2年近く前に止めましたが、手遅れだったみたい)
  2. 肥満(身長170cm、体重74kg)
  3. 運動不足(ワンコの散歩程度では全然ダメ!)
  4. 高脂血症(入院時の血中の総コレステロール値206mg/dl)
  5. ストレス(これはしょうがないわネェ〜)
  6. 遺伝素因(母親が動脈硬化、これもしょうがないわナァ〜)

 もし、あなたもワタシと同じような因子があるとしたら、いつ悪魔が忍び寄ってきてもおかしくありませんので、充分にお気を付けくださいませ。そして、同じように息苦しくなったり、胸が異常に痛くなったり(心筋梗塞かもしれない)したら、我慢は絶対禁物!すぐに救急車を要請してください。
 ではでは、ごきげんよう・・・・・。

 

 

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