1960年製シチズン・グレースの時針調整

このところ、相変わらずですが女性用の手動式時計に興味が移行してます。
その一つの要因は、近ごろ眼の調子がすこぶるいいということかも・・・
2、3年前は、視力がガクンと落ちて、それと同時に細かいものを見つめる”耐久力”まで
落ちてしまって、長く趣味としてきた写真機の修理からもとうとう離れてしまう始末で!
女性用腕時計の場合、男性用に比べるとモノによってはムーブメントが50%ほど小さく
出来ていて、すべての作業がデリケートになってきます。
で、今回のお相手は”1960年型のシチズン・グレース19石”。
スクェアフェースでブレスレットタイプのベルトがついた高級機です。



↑ ネジを巻くと2針とも動き出します。つい最近まで使われていたものなのでしょう。
しかし、ご覧の通り針ズレが生じてます。
いま、この状態は0時を示しているのですが分針はジャストな位置にありますが、
時針がマイナス方向に3度ほどズレてしまっています。
このトラブルは、ネジ巻式の機械時計には結構多いトラブルです。
それともう一つは、落とした拍子に踏んづけてしまったのでしょうか、ベルトの
取付け具が両方共に曲がってしまっていて現状では腕にはめることが出来なくなっています。
今回は、この2つの問題を修正していきます。



↑ この時計はこの位置に裏蓋を開けるための”ベロ”が付いています。
ここをナイフで抉じれば簡単に裏蓋が外れます。
じつにレストアラーには親切な作り!
ちなみに、この時計は純金を20ミクロン厚で全体がコーティングされていると刻印がされていますが、
ちっちゃな時計の割に、さすが純金カバーのせいかズシリとした持ち重りがしますよ。



↑ 裏蓋さえ外れればムーブメントは簡単に取り出せます。
この針ズレの調整は簡単です。
まず、竜頭を使って”時針”を0時位置に持ってきます。
そうすると、当然分針も動いて回ってしまいますので、今度は竜頭を使わずに
ピンセットや精密ドライバーを使って分針を0時位置にまで移動させます。
このようにして外部から分針を回す分には、時針は動きませんので、ドンピシャで
2針とも0時で重なるように調整が出来ます。

↑ はい、こんな感じでピッタリ0時にセット出来ました。

せっかくここまで開けてしまっているので、一昼夜放置して運針の早遅調整もしちゃいましょうね。
この時計の場合、日差で120秒ほど進みましたので、一目盛りほどマイナス位置でセットして
おきましょうね。それにしても実に小さくまとめたムーブメントですね!
となりの一円玉と比べてみればその小ささがお分かり頂けるでしょう。
しかし、昔の機械はまったく”手抜き”がないですね。こんな小ささですが軸受けには
しっかり19個のルビーが使われています。


はい、ベルトのひん曲がりもしっかり修正出来ました。
ガラスや金ボディ、ブレスレットの表面も研磨剤で丁寧に磨きあげてやったら
ご覧の通り、ピッカピカに新品時の光沢が戻りました。
やっぱり、純金の光沢って素晴らしい!
しかし今回のこの時計、残念なのはブレスレットが前オーナーの腕廻りで調整が仕上がっていて
私の腕には太すぎて着けることが出来ませんでした。
うぅ〜〜ん、せっかく時刻も正確に刻んで調子良く治ったのにぃ〜・・・!


2015.322

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