ADOX CHM 125 PROというフィルム

 写真というものはフランスで発明され、ドイツや英国で洗練されて、そののち、この国に入ってきたものですから、れっきとした外来モノですね。で、この術を誰が日本語に置き換えたものか分かりませんが、写真術、すなわち「真(まこと)」を「写」すと解釈してしまった。写真というものは、みなさまもよくご存知のようにとても嘘つきです。光の扱い方や画角の切り取り方一つでいくらでもイメージをコントロールすることが可能ですね。ですから、「写真」という言い方には多分に胡散臭さがつきまといますし、正しい言い方ではないように思うのですよ。

 一方、英語ではPHOTOGRAPHといいますね、PHOTO:光のGRAPH:画となります。ヒカリを用いて描く絵という感覚です。
 この言い方、すなわち「光画」は日本でも明治・大正時代から戦後まもなくまでは使われていたのですが、いつの間にか消えて「写真」という言い方一辺倒になってしまいました。
 我々日本人と欧米人では写真に対する思いがどうも少しずれているような気がしているのですが、それはこの「言い方」の差にも現れているように、我々は形や線にこだわって写真を理解している感じがします。すなわちピィーンとエッジの利いたシャープな絵面で、その上、いわゆる適正露出で撮ったものを良しとするような・・・。逆に欧米の人は細かなディテールや尖鋭度よりも、その時、その場の光の印象とでも言いましょうか、全体的な面を主体とする光の階調や雰囲気に重きを置いているよう感じがしているのですよ。
 これはどちらが良いとか悪いとかではなく、写真をどう見るか、あるいはどう扱うかという考え方の違いなので、そのことが各国メーカーの機材や感材の開発・発達に差異を生じているように思うのですがね。

 さて、今回はまたドイツ・アドックス社の「CHM125 PRO」というフィルムをご覧頂きます。
これは以前ご紹介した「CHS 50 ART」というフィルムと同シリーズのもので、いわゆる ISO125という標準感度のフィルムです。
 さすがに50 ARTのような超微細な粒子感を見ることは出来ませんが、メリハリの利いたコントラストと適度なピント感で安心して常用できるフィルムという感じがします。そしてかなり暗くて光が落ち込むところでも、絵としてそこそこに解像してしまいますので、記録目的としては最適かもしれません。また、自家現像をする方にとっては、このフィルムもほとんどカーリングをしませんので、その面でも取扱いの楽なフィルムといえます。
 今回の現像方法はメーカー指示の通り、真水前浴1分の後、D-76で摂氏20度7分で実施しました。上がったネガのベースは淡グレーでほとんど透明といってもよいほどです。また、今回の撮影に使用したカメラはキャノネットGIIIを用いました。

 


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いかがでしたでしょうか、アクロスほどの微細粒子フィルムではありませんので、
車のボディや空のような均一的な階調面に対しては銀塩フィルムらしい粒状感が出るようです。

2005.12.26

 

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