Nikon TW zoom

最初で最後、多分・・・

 長年親しんできた、近所の国道沿いにあるカメラ屋さんからダイレクトメールが届きました。
 それには大きな字で「閉店」と書かれてあって、あと一ヶ月ほどで店終いする旨の案内状だったのです。
 閉店の理由としては「諸般の事情により・・・」と書かれていました。このお店は皆さんもよくご存じの全国に展開している大手カメラチェーン店なのです。用品はもちろん、中古やジャンクまで幅広い商品構成でよく利用させてもらっていたお店です。
 最も開店以来15年、ここで新品を購入したのは3、4台くらいかなぁ〜、ほとんどが中古品かジャンクばかりでしたが。
 諸般の事情ってなんだろう・・・。ここ1,2年は急速に訪れたデジタルカメラブームに乗ってデジカメコーナーがどんどん幅を利かせるようになり、銀塩カメラのコーナーが日々衰退してきていることに「なんだかナァ〜、経営方針間違っているんじゃないのかナァ〜」と思っていたのですが、まさか閉店しちゃうとはねぇ〜。

 このお店がある国道沿いは日本でも有数の大型小売店の激戦地区。特に家電小売業界では生き残りを賭けて血の出るような争いをしているらしいのです。去年も大手家電店の値付けの仕方が問題になって事件にまで発展してしまったようなところです。
 さしあたりカメラ専門店についてはここ一軒。ですから家電品扱いとなったデジカメなどを指向せず、逆に銀塩に力を注いでいれば持ちこたえたのではないかと・・・。諸般の事情とは一にも二にもデジカメ戦争に就いていけなかったのではと。
 カメラという名こそ付いてはいますがデジタルとなればこれはもう立派な電気製品ですし、パソコンの普及に比例して急成長している商品です。大型家電店がメインにしてもおかしくない商品ですネ。
 そうなれば当然のように価格戦争勃発!数万円の商品に対して千円はおろか、百円単位の利益でしのぎを削るようになっちゃいます。そうなってはいくら専門知識が豊富な店員さんがいるカメラ専門店より消費者は安さに釣られて家電屋さんでカメラを買うようになるのも仕方のないことかも知れません。特に不景気はここに極まれりの感があるし、誰だって同じものなら1円でも安い方に流れるのは当然ですね。
 そこへ持ってきて、カメラ付き携帯電話の普及です。昨今は200万画素なんて物まで出てきて、カメラなんだか電話なんだか解らないような機種まである始末。
 この勢いだと多分、今年の後半にはカメラは完全に電気屋さんか携帯ショップで買うモノになるのでしょうね。

 以前は、お米屋さんという商売がありました。この10年で急速に数が減った商売ですね。
 何百年とお上の手厚い保護の下、安泰に商売を続けてこられたのですが、規制緩和の一声でぶっ飛んじゃった。
 私の暮らす新興住宅街では5,6年前に、仕事場のある本郷(ここは都内でも珍しいほど開発が遅れている番外地のような所)でさえ一昨年、米穀商が店を畳みました。あなたの街ではまだお米屋さんがありますか?
 これなども同様にお米が売れなくなったわけではなく、お客さんの方が買うお店を変えちゃったんですね。お米は、お米屋さんではなくスーパーかドラッグストアーで買うモノと・・・。

 さて、店仕舞いとなればやけのやん八、大概が在庫品の投げ売りと言うことになりますわね。
 投げ売りするかァ〜、何だかソワソワして腰が落ち着かないナァ〜、行かないと後で後悔しちゃうかナァ〜・・・
 近所の訳知りが「コレ、あそこの閉店セールで1万円で仕入れて来ちゃった、アンタも行った?」などと言って10数万円もするカメラを見せびらかせるかも知れないし・・・。
 ということで行くには行ってみましたが、日頃の不勉強というか無関心が仇となり、現行新品の相場が全く解らず、多分相当安くなってはいるのだろうと思うのですが結局1台も買うことが出来ませんでした。
 正直に言うと財布もペッタンコですぅ〜すぅ〜隙間風が通り抜けているのが原因なんですがね・・・。
 まぁ〜、折角来たんだし空手で帰るのもナァ〜、とまたまたジャンク箱まで流されて目に付いたカメラがこれ「ニコンTWズーム」。
 私は、ニコンとは縁がない、もしくは縁を持ちたくない主義でここまでやってきましたが、とうとう手を出してしまいました。 それもジャンクとはいえ身銭(¥500)まで切って。
 一応、カメラを手にして、しばしの逡巡はあったのですよ、「こんなプラカメ1台ごときで、30年間貫き通してきたポリシーを潰されてたまるかっ!」ってね。
 ここは何とか理屈をくっつけて自分を説得しなければならない、そうだ敵情視察ということにしよう、そして2,3回使ったら何時までも置いておかないで誰かに上げてしまえば証拠は残らないし汚点とはならないだろう・・・と最後は犯罪者の心理に近い状態になって居るのでした。
 クッソ〜、なんでこんな気持ちにならなきゃいけないんだヨォ〜、どこまでも忌々しいニコンめ!

 で、なんでこのカメラが目に付いたかというと、やたらと色々なものが大きいんです。80年代に一世を風靡した山本直純さんの「大きいことは良いことだ」信仰がすっかり身に付いたまま落ちない私は、大きいものに弱いんです。
 先ずカメラ全体が大きい、プラコン(プラスチック製コンパクトカメラ)というのはともすれば安っぽく見えがちですが、ガタイが大きいとそれだけで「ドーダ、中身イッパイ詰まってンぞ」というドーダ感が出てきます。(それがどーしたなんて言わないでネ)
 つぎに、ファインダーが大きい。私はコレに弱い!ファインダーが大きいと、つい見えが良いのではという思い違いをしちゃうんです。今までにファインダーが小さくても見えの良いカメラを何台も経験しているのにこの思い違いだけはどうにも直らない。
 そして、フラッシュも大きい。フラッシュに関しては大きさとガイドナンバーは大体比例しているので大きい方が何かと有利です。このフラッシュはGN14位は優にありそうです。
 最後に液晶パネルが大きい。近頃は年々視力が後退していますので表示は出来るだけ大きい方が有り難い。このLCDは一眼レフ並みの大きさがあります。と、まぁ〜全てが正常に作動すればの話なのですが・・・。
 今過去の経験からプラコンジャンクの生死率は大体5割。
 ダメだったヤツも電極周りのクリーンナップでそのまた5割ほどが使えるようになっています。
 で、コレはと言うと電池を装填して電源を入れると全ての機能が動き出しました。
「あぁ〜、良かった」このホッと感は完全に\500以上の価値がありますね。
 わたくし、電気カメラ、それもフレキ板で取り囲まれているものは、サッパリ理解が出来ません。もし何処かにトラブルを抱えていたら99%お手上げです。

 で、肝心の撮影してみての印象と言うことになるのですが、第一に感じたのがどの領域(35-80ミリ)でも素晴らしくヌケが良い!今までに経験してきたものの中ではトップクラスです。
 ただ、表情が凄く硬質で味も素っ気も無い感じ、そこにあるものをそのままカッキーンと封じ込めるような描写をします。その反面、カラーでは色扱いも丁寧で緻密な絵を提供してくれます。
 次に感じたのが、AF測距と巻き上げは凄くパワフルでシャッター時間差を殆ど感じることなく撮影できます。ですからシャッターチャンスには凄く強い、この辺はこのカメラの大きな美点です。
 それと使い勝手についてなのですが、トップに着いているLCDは予想通り表示が大きく見易いです。
 ただその横の4個のモードボタンが埋め過ぎですね。誤押を防ぐための設計でしょうが、私の人差し指(それほど太い方ではありません)で押しても接点まで届かず、うまくタッチできません。
 特にフラッシュモードボタンは発禁モードにして使うことが多いので頻繁に押すボタンなのですが、小指でなければうまく押せません。
 ファインダーに関してはそれほど見えが良いわけではなく、むしろ糸巻き歪みもかなり出ますし、レベル以下かも知れません。見かけ倒しで騙されました。

 と、まぁ〜、初めてのお使いならぬ初めてのニコンだった訳ですが、予想通りの所もあったし、何じゃコレの所も有りで、色々勉強になりました。 今後このカメラを常用するかと問われれば「しない」と答えるでしょう。なぜって、やっぱり私の柄ではないからです。


Nikon TW zoomの作例です

以下の写真は、カラーはAgfa Optima 400を純正現像。
モノクロはKONICAPAN400をエヌエヌシー社のND-76で標準現像処理。
Nikon Coolscan IVでネガフィルムを直接スキャニングした画像です。

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