nikkenflex

名前も和風なら、スタイルも和風

 戦後間もない頃から始まったリコーフレックスの国民的な大ブームは相当な勢いだったらしく、すぐさまリコー一社に儲けさせじと、追随して二眼レフを送り出してきたメーカーは雨後の竹の子のごとく現れ、いわゆる四畳半メーカーといわれるものまで員数に加えると一説には国内に40社以上もあったとも聞いています。
 無謀な戦争に因って何もかも無くしてしまった人々にとって安価で手に入るカメラは、なによりの楽しみだったことに違いなかったこてでしょう。
 そうしたブームのさなか、昭和25年に「Nikkenflex」というカメラで勝負を挑んだのが、「日本光研」という会社で、二眼レフを専門に昭和30年までのわずか6年間にシリーズで8種ほどのカメラを創り出してサッと退場してしまいました。
 その退場の訳は定かではありませんが、やはり手軽で小さいライカ判フィルムを使うカメラの台頭ではではないでしょうか。
 いつまでもブローニーに拘って二眼オンリーだったメーカー、あるいは35mm判の開発が出来なかったり、出遅れたメーカーはこの時期みな同様に姿を消していますね。
 今回取り上げたカメラはニッケンフレックスの「2D型」ではないかと思われますが、どれも皆バリエーションにそう大きな違いがないし、ボディにも型番が明記されていないので確証がもてません。

 この当時、日本でつくられたこれら二眼レフはどれも皆同じような機構とスタイルで、際だった特徴のあるものがほとんどありませんが、これはどうゆう事なのでしょう。ドイツのフランケ&ハイデッケ社が所有していたローライフレックスの特許期限が切れたことに起因することなのか、あまりの個性のなさにがっかりしますね。
 時代背景を考えると、日本は戦争によって壊滅的に潰されてしまった工業力をまた一から立て直し、ヨチヨチ歩きを始めたときです。そんな余裕のない時にはオリジナリティなどというものは求める方が無理というものか。あるいは私の知識不足で、詳細に調べればそれぞれに相当の差異があるのでしょうか。デザインをはじめレンズや露出機構を見る限り大同小異のような気がしてならないのですが・・・。
 もしそうだとすれば、当時の写真機店はどのような品揃えで客を迎えていたのでしょう。
 使用法やスタイル、性能までがそう大きく変わらないカメラが、何十種類とあったわけで、店主もさぞ大変だったでしょうが、客も大いに迷ったことでしょうね。
 まあ、しかし、このような買い物で迷い悩むことは今も昔も大変楽しいことには違いないです。
 当時の写真機店の様子は、小生の歳ではうかがい知ることは出来ませんが、ショーウインドに2、30台のメーカーが違う同じような二眼レフが並んでいたとすれば、これはさぞ壮観だったことでしょう。
 カメラも齢50歳を過ぎてくると人間と同様に相当くたびれてきます。まして当時、家一軒が買えたと言われるほど高価だったローライやコンタックスならそれ相当の手厚い扱いをされてきたでしょうが、ブーム便乗組の本機のような大衆用カメラは、お役ご免と同時に押入や納戸の奥深くに埋もれてしまうため、一層老化が進んでしまいます。
 ここで老化をくい止め、あるいはほんの少し若返ってもらうためにほんの少しの手当を試みてみました。

 先ずレンズは、撮影用・ファインダー用とも埃でコーティングされているので、外してクリーニング、ついでにシャッターも低速が数値以上に遅いので、ベンジンを流し込んで洗浄、これで多少瞬きも早くなり、縦に並んだオメメもパッチリしてきた。
 期待してファインダーを覗いてみるとハッキリクッキリかと思いきや、作業前と同様でぼんやりしていてなお暗い。
 仕方なくピントグラスを外し、ミラーを見て納得。何と鏡面が拭き取られていて半ば透けてしまっている。たぶん前のオーナーがミラーの埃を除去しようとしたときに、鏡面まで拭き取ってしまったのだろう。
 これは私の力量ではどうにもならないので、同じ厚さの鏡を捜して取り替えることにします。
 オリジナルは1mm厚の鏡なのですが、これは鏡としては結構薄く、代用品を捜してみるとなかなか無い。
 あれやこれやで辿り着いたのが、女子高生らがよく持ち歩いているよな、チープな化粧用の二つ折り手鏡で、これをオリジナルと同じ形にカットして流用しました。
 ファインダーは見違えるように明るくなり、今度は本当に四隅までハッキリ・クッキリ。
 巻き上げノブが少し渋いが、自動巻き止めも生きているので、とりあえずこれで8割りかた若返ったと思いこむこととし、撮影してみることにしました。


今ではシャッターと絞り羽は、共に快調。
張り革の欠損部分はとりあず応急修理。
レンズ回りに赤文字で「H.C」とあるのHigh Contrustの意味なのだろうか、
確かにコントラストは高めの描写をしてくれる。


赤窓は下面にあるので少し不便。


左上のノブが巻き上げ用、1コマ撮るたびにセンターの黒いボタンを押して、
ストッパーを解除してから巻き上げる。右のノブがフォーカス用。

 


案外コントラストが高く意外だった。そのせいかアンダー部分は省略されてしまうが。
Kodak T-max、f:11、1/100秒


何処の公園でもママは大変だ。
子供が1日飽きないよう家中のオモチャをバギーに積んでお出ましだ。
先鋭度は低く、ソフトで優しい絵が撮れる。私はこういう写真が撮れるカメラが大好きだ。
Kodak T-max、f:8、1/100秒


風景、特にこのような現代的建造物は柔らかすぎてこのカメラにはそぐわなかった。
Kodak T-max、f16、1/50秒

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