「死の灰を浴びた狛犬達」 投稿者:ebatom

昭和時代に戦争という最悪な破壊行為が行われて、
建物も樹木も人も動物も、
根こそぎ熱風で吹き飛ばされた街があった。
一帯が焼け野原と化したこの街に、
唯一石造であったためにその身を後世に残したモノ達がいる。
それはまるで人間の過去の愚行を戒めるように、
静かに深い社の奥に無残な姿で佇んでいた。
原爆の残骸は博物館や資料館で閲覧できるだろう。
しかし、それはあくまで収集され、移設され、
保存され、国の管理下に置かれた記録物に他ならない。
説得力を伴うものは死蔵であってはならないと思う。
溶けた眼鏡やビール瓶をガラスケースに納めて陳列すべきではない、
と考えている。
このモノ達は当時の背景そのままに、半世紀以上経た今日もなお、
ここにいて、無言の言葉を投げかけている。
悲惨な出来事の証言者であろうとした、
そんな彼らの生身の姿に巡り会えたことが何より嬉しい。


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2010.6.29

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