東京で暮らしている狛犬達・・・城南編

品川区

西大井・天祖神社
生息地:東京都品川区二葉四丁目4-12

 東京の狛犬は、その約400年の歴史の中で意匠や技巧など、徐々に洗練されていき、明治の後半から昭和の初頭に爛熟期を迎え、その後は戦争の影響などもあり、今度は逆に衰退しながら現在に至っている。
 今回、訪ねた品川区の天祖神社には、その爛熟期を迎える以前の江戸時代後期に見事なノミさばきで同僚石工たちをアッと言わせた石工「安五郎」の傑作が今も拝殿前で参拝の氏子連を見守ってくれている。
 この作者の秀でた特徴は、その見事なまでのリアリティーさと台座から飛び出さんばかりのダイナミックな空間把握力による。狛犬像は3次元空間に存在しているということを最後の一彫りにまで魂を込めて刻んだ結果、周囲360度、どの位置に立って見ても、まったく一分の隙もない造形を作り上げてしまった。

●狛犬としての仕事ぶり度 ★★★★(毋犬が二頭の子、父犬が一頭の子をあやし、都合五頭で参拝人を護っている)
●狛犬としての個性度   ★★★(優雅に流れる鬣・尾毛の立体表現は他に無い)
●癒され指数       (3頭の子に囲まれたら、そりゃぁ〜もう・・・)
●思わず笑っちゃう度   (三女が無心に乳を飲む姿には、思わず笑みが・・・)
●奉納日 慶応三年六月(1867年)
●作者名 安五郎
●撮影機材 パナソニックFZ30

長男は台座から溢れんばかりの位置にしがみつく
このダイナミックな空間把握力!

最奥でじつに彫り難い場所にある乳房もリアルで、まったく手抜き
ということを知らない名工・安五郎さん


こちらは参道途中で、参拝者のご機嫌を伺う大正犬

こちらも先代と同様に阿ママが、乳のみの三女と背の長男という構成

おなじく吽パパが次男を球でアヤすという先代を踏襲した家族形式
さすがに爛熟期の大正犬だけあって、非の打ち所の無い素晴らしい仕上がり!

台座には大正五年十一月
石工・二本榎の「石福」と刻まれていた

2012.11.28

臥龍山 安養院 能仁寺
生息地:東京都品川区西五反田4−12−1

 これは大作と言っていいほどの大きさと仕上がり具合です。飛び出した眼やズッコンとした鼻など、どう見てもエキゾチックなので渡来犬ではないでしょうか。台座を含め細部に渡ってとっても精密感があり完成度の非常に高い「作品」という感じがしました。

●狛犬としての仕事ぶり度 
●狛犬としての個性度   ★★★
●癒され指数       
●思わず笑っちゃう度   ★★★
●奉納日 ---
●作者名 ---
●撮影機材 Kマウントチノン50mm/f1.9


2009.4.6

寄木神社
生息地:東京都品川区東品川一丁目35番8号

 もうじき元の石に戻りそう・・・。
 しかし、その表情は2頭とも未だにとても穏やかで可愛らしく、春陽を浴びて佇む姿は癒され度のかなり高い狛犬です。大きさもひと抱えほどで小振りなのも得点が高いです。
 誕生から180年を経過して風化の度合いも相当ですが、この東京においては100年を越える建造物は皆無ですので、せめてこの寄木神社の2頭は今後大切に手厚く保存していただきたいものです。

 なお、この寄木神社は規模としてはとても小さな神社(見つけるのも苦労するほど)なのですが、あの「伊豆の長八の鏝絵(こてえ)」が残されている事の方で名の知れ渡っている神社のようです。

●狛犬としての仕事ぶり度 ★(今では丸くなっちゃいましたが「現役」の頃は、そこそこだったと思われますので・・・)
●狛犬としての個性度   ★★★
●癒され指数       
●思わず笑っちゃう度   ★★★
●奉納日 文政11年5月1828年
 今は埋め立てが進んでかなり陸地側ですが、むかしはほぼ海岸べたに位置していたことは間違い有りません。やっぱり、潮風も手伝って石の風化を進めるのか、他の古い物件より激しく溶けています、この2頭は。
●作者名 ーーー
●撮影機材 ペンタックスA3(35-70/f4)


2009.4.14

戸越八幡神社
生息地:東京都品川区戸越二丁目6番23号

 ここのワンコは延享三年(1746年)の誕生です。この戸越村の村人達がお金を出し合ってこの神社に奉納したもので、江戸の狛犬の生まれ方としてはとても珍しい形なので採り上げました。フツウは大店のお大尽とかご隠居さんが長生きの御礼とかに奉納するものですが、村人全員でというのはここで初めて見ました。
 阿吽1対の台座に207名の村民の名前が正面以外の3面に刻んでありますが、この部分は風化と劣化がきていて全部を正確には読めないところが残念です。
 延享三年というのはほぼ250年前ですが、ここ品川区に現存する狛犬としてはこれが「最古」の狛犬になるそうです。

●狛犬としての仕事ぶり度 ★(大政奉還から震災・戦災とすべてをくぐり抜けての今日、この姿ですから立派と言うほかございません)
●狛犬としての個性度   ★★★(江戸中期のブッ犬としては標準的か・・・)
●癒され指数       
●思わず笑っちゃう度   ーーー(記録を目的に見てきましたので「わらい」の要素は見ていません)
●奉納日 延享三年(1746年)
●作者名 ーーー
●撮影機材 ミノルタ・ハイマチックF


2009.11.4

南大井・鹿島神社
生息地:東京都品川区大井6丁目18-36

 台座にはハッキリと「天明五年乙巳九月」と刻まれていますから西暦で言うと、1785年生まれ。今年で225歳にもなる老犬がこんなところにひっそりと静かに暮らしていました。歴史の浅い東京で暮らしている犬としては天明生まれというのは長生きな方ではないでしょうか、この場所はJR大井町駅と大森駅のちょうど中間あたりなので、戦時中は空襲の被害が非道かったあたりでもありますしね。
 スタイルとしては「江戸尾立ち」の典型ですが阿さんには宝珠が、また吽くんにはツノがハッキリと乗せられていますので古代犬の特長パーツをフル装備といった感じです。
 この子達の特長はなんと言ってもそのペッタンコにつぶれたお顔で、とくに吽くんの表情はすばらしい!こんなお顔のデッサンをこの225年前の石工「元治郎」さんが持っていたんですねぇ〜、鼻のカタチなんか完全に人間のそれですが、ライオンや獅子についての「情報」がまったく無い時代、元治郎さんはいろんな想像を頭の中で巡らして石のかたまりと相談しながら毎日、毎日鉄鎚を振るっていたことでありましょう。

●狛犬としての仕事ぶり度 ★(無理して威嚇顔を作っていることは見え見え、ご覧のように「実の」表情がとっても優しいんです)
●狛犬としての個性度   ★★★
●癒され指数       
●思わず笑っちゃう度   ★★(吽クンと30センチの距離で対峙したら絶対に噴き出しちゃいますよ、ホントに

●奉納日 天明五年九月(1785年)
●作者名 元治郎
●撮影機材 パナソニックFZ30

よほど設置場所の環境が良かったのか
そして材料の岩石も吟味して
かなり硬度の高いものを使ってくれた
おかげで、今でもオリジナルの姿で
完璧に保存されています。
緋木綿の前掛けしてもらって
氏子衆の可愛がり方もひとしお・・・・。


2010.2.20

港区

麻布・氷川神社
生息地:東京都港区元麻布1−4−23

 現在の東京の一等地といえども、江戸時代から連綿と続くその土地に根付いた町社は、ほぼ昔の規模のまま現存しています。ここ麻布台の一番高台にある一等地にも「氷川神社」があり、素盞鳴尊(すさのおのみこと)さんが祀られています。
 この土地柄から想像するに地勢がかなり高いので、職人や商人が暮らした場所ではないようです。ならば、旗本屋敷や武家屋敷が並んでいたのか・・・町の雰囲気としてはどうもそんな感じがするのですが、古地図などの資料を持っていませんので、推察はここまでです。
 さて、そんな町にある氷川神社ですが、ここのワンコ達はなんとすべて「本来あるべき場所」から追いやられて、一応敷地内ですがトンでもない隅っこに追いやられています。じつにケシカラン話ではありませんか、歴史と伝統がある「氷川神社」さまとしたことが・・・・!

 拝殿の後ろには鬼の金棒を逆さに立てたような「元麻布ヒルズ」が不安定さを露呈しながらドデェ〜ンと突っ立っています。

●狛犬としての仕事ぶり度 (置かれている場所が場所だけに仕事はしていませんが、これは本人達の「意志」とは違ってますよ、彼らはまだぜんぜんやる気だし、様子だってシッカリしたものです)
●狛犬としての個性度   ★★(両犬とも、さすがにお屋敷町の犬らしく名工の手によるものだとすぐに分かります、特に下の「尾立ち」の方はすばらしっ!)
●癒され指数       (作品としての癒され度は5としてもいいほどなのですが、この「待遇」はあまりにヒドイ、カナシイ!)
●思わず笑っちゃう度   (なので、とても笑っていられる場合じゃございません)
●奉納日 文化元年八月(下の江戸尾立犬の方)
●作者名 上田屋 久治郎
●撮影機材 Minolta α7700(35-70)

 生息地はこの地図に示すように、都心の超一等地なのですが、なんでこんなに冷遇されているんでしょう・・・・?

流麗なタテガミや尾で典型的な江戸犬の特長を備えていますが
頭頂に穴があるので、明治以前の犬ではないかと思います。
前肢のデティールなど堂々としていてすばらしい!
残念なことに台座が見あたらないので、
誕生日や制作者のことが一切分かりません。

まぁ〜、仲良くふたりでお話が続いているようなので
安心はしているんですけど・・・。


コチラももう206歳という高齢ながら
いまだに仲良くキッスなどされているので
あと100年くらいは行けそうな感じなのですが

せめて台座があるんだから乗せるくらいのことを
してやってもいいのにねぇ〜・・・
ホントにここの宮司の扱いにはアタマ来る!

2010.11.15

大倉集古館
生息地:東京都港区虎ノ門二丁目10番4号

 これをはたして狛犬といって良いものなのか、ホテル・オークラの敷地内にある「大倉集古館」の階段手すり踊り場にいる犬たち。
 この建物自体はあの伊東忠太師の手になるもので、当然のこと館内にはアチコチに「忠太動物園」が展開されています。(注意してよ〜く見ないと見過ごしますが)しかし、この犬たちはハッキリ存在が分かる唯一のもの。築地本願寺の階段手すりにいる象さんと同じく、ちょっとふっくら目で愛らしいデザインは、忠太さん独特の世界を築き上げています。

●狛犬としての仕事ぶり度 ★(全高が30センチくらいの小品ですし、表情も可愛いので「邪気払い」なんて荷が重すぎます)
●狛犬としての個性度   ★★★
●癒され指数       
●思わず笑っちゃう度   ★★★
●奉納日(竣工) 昭和3年(1928年)
●作者名 伊東忠太
●撮影機材 コニカ・Kmini


2009.4.25

赤坂・氷川神社
生息地:東京都港区赤坂6-10

 都内でも最も古いタイプの狛犬が居ると言うことで赤坂まで行って来ました。これが延宝3年(1675)に奉納された超老犬ですが、ビックリしたことに330年間の風雨に耐えほとんど風化していないっ!
 これは使っている石材が丈夫なのか、あるいは設置してある場所の条件が良いのか、狛犬って条件によっては100年足らずでほとんど「石」に戻ってしまうものもある中で、これの程度の良さは特筆モノでした。

 この狛犬、将軍さまの愛犬がモデルになっているのか、栄養過多でコロンコロンしています。遠目で見るとカエルにさえ見えるほどで、どうも門番としての迫力に欠けるのですが、わたしの癒され犬嗜好としては得点高いですね、このタイプは・・・・。

●狛犬としての仕事ぶり度 ★(現物は一抱えくらいの小ささで、その点でも迫力は無く、可愛さが先にたってしまう)
●狛犬としての個性度   ★★★
●癒され指数       
●思わず笑っちゃう度   ★★★
●奉納日 延宝3年(1675)
●作者名 ---
●撮影機材 Canon EOS55 (35-70)

 こちら、鬱蒼とした高い木立に囲まれていて例え好天時でも常時暗い場所にあります。今回、阿像はフラッシュ使用、吽像はアベイラブルで試しましたがこのような撮影の場合、どっちが適しているんでしょうね、雰囲気先行かディテール重視か・・・・・ちょっと、迷いました。


2009.4.19

 

大田区

矢口渡・諏訪神社
生息地:東京都大田区多摩川2丁目10−22

 あえてこのページに添えるような場所のブッ犬ではないですが、実はここ、私の故郷といっていいお宮さんなので、まったくの独断で掲載してしまいました。私が6歳のときに定住し始めた地がここで、12歳までの6年間のほとんどをこの神社の境内とその周りを遊び場にしていました。
 ビー玉にメンコ、冬には馬乗り、缶けり、そして鬼ごっこ・・・・。夏休みのラジオ体操の会場もココでしたね。
 下の写真にある拝殿の裏側には、直径15mくらいのすり鉢状をした防火用水池があって、初夏にはそこでオタマジャクシやザリガニ捕りをしたりしていました。その池の深さはたぶん5、6mほどはあったでしょう。私が3年生の頃に、友達の妹が足を滑らせて池に落ち、溺れて死んでしまう事故などもありましたね。今だったら行政が柵をしなかったからだとかで大騒ぎになっていたでしょうが、当時はそんな安全対策なんてどこにもありませんでしたよね。
 今回、この狛犬取材でほぼ50年ぶりで訪れましたが、拝殿は新しくなり、敷地の一部が月極駐車場になって、狛犬も新しく立派で大きいのが1対加わっていたりで、かなりボクの記憶の印象とは違っていましたが、境内の空気感は当時のままでした。そして、裏に回って例の池を確かめたのですが、現在は埋め立てられていて、その痕跡すらありませんでしたね。50年の歳月はやっぱり大きいですよ、「半世紀」ですもの!

諏訪神社・先代の方のワンコの感想
●狛犬としての仕事ぶり度 ★★★(そうだった、そうだった、こんなような狛犬が居たことをほんの少しだけおぼえてた)
●狛犬としての個性度   ★★★(明治の後半の生まれですけど、「江戸尾立ち」の伝承や、頭上のギボシなど、とっても凝った造りで素晴らしい!)
●癒され指数       ★★★★★★(ただただ「個人的思い入れ」が強く、この写真を撮りながらも、どういうワケか涙が止まらず・・・あぁ〜、歳とった!歳とった!!)
●思わず笑っちゃう度   (腕の付け根のぷくぷく感や、ボクとソックリの胴長短足感にニンマリ)
●誕生日 明治四十年七月(1907年)
●作者名 ーーー
●撮影機材 Panasonic FZ30


2010.5.26

六郷神社
生息地:東京都大田区東六郷3-10-18

 もう、彼らに対しては何も言いません、どうぞジックリご覧下さい。どうでしょ、この愛嬌満点のお顔は・・・・!
 四角い石の塊を最小の労力をもって最大かつ最高の演出に結びつけることに成功した貴重な例ではないでしょうか。今のところ、わたしが現物に接したものの中では最高の「癒され度」を獲得している傑作ワンコ、ボク自身の中でのナンバーワンがこれです。

 生息地を記してありますので、近在の方はぜひ、実物をご覧頂きたいと思います。また、神社そばの「六郷橋」を渡って大師側まで足を伸ばせば、あの「金山神社」も至近にあります。

●狛犬としての仕事ぶり度 ★(一応、最低限の「阿吽」だけはやっておりますので・・・・)
●狛犬としての個性度   ★★★
●癒され指数       
●思わず笑っちゃう度   ★★★
●奉納日 貞享2年1685年
 
たぶん、江戸の狛犬としては最古のものじゃないでしょうか。もう、300歳以上の古老犬ですが、あまり風化していません。御影石(?)を使っているのか余程硬い材料で彫ってあることが分かります。砂岩系のものは100年くらいでボロボロになっていますので。
●作者名 ーーー
●撮影機材 ペンタックスA3(35-70/f4)


2009.4.12


世田谷区

世田谷八幡神社
生息地:東京都世田谷区宮坂1-23-20

 ここは通勤を絡めて割とよく通る道のスグ近くにあるおヤシロだったので、「ついで」という感じで軽く寄ってみました。
 するとどうでしょ、こんな良いのが居るんですよねぇ・・・。このようにあまり期待していなかったところでお宝が出るとすごく得した気分になりますよね。
 さて、そんなことはどうでもいいです、肝心のワンコのことを書かなくっちゃ。
 ご覧の通り、こちらは夫婦で子取りの1対になっていますが、なんと言っても子供の姿勢と表情がズバ抜けて良いのです。また、阿ママの方の子は「吽子」に、吽パパの方の子は「阿子」と言うふうに非常に凝った構成で成り立っていました。
 これほどのことをやってしまう石工さんですから、その彫り方の入れ込み方も半端な仕事はしていません。親の腹下や子供の耳回りなどもの凄くデリケートなノミ遣いで見る者を圧倒してくれます。台座にもフルに牡丹の額絵を彫り込んで最後の最後までその持てる力を緩めていません。
 これほどの傑作を前にしつつも、わたし、今日はシゴト日なのでなんと小型のハーフ版のカメラ一丁しかなく、とりあえずそれでシャッター押してきましたが、これはもう一度キチンと再撮に行かねばなりませんね。

の狛犬について
●狛犬としての仕事ぶり度 ★★★(二人の子供の育児をしつつも視線の先は常に参道へ・・・ご立派です)
●狛犬としての個性度   ★★
●癒され指数       ★★(個人差があることでしょうが、ボクはこういう子供の視線にはメロメロになってしまいます)
●思わず笑っちゃう度   (こういうイイモノには笑いなど求めません)
●奉納日 明治十一年一月十五日
●作者名 小俣松五郎(勉強不足もあって初めてお目に掛かった石工さんですが、この方の他の作品もぜひ見てみたいです。まったく「手抜き」ということを知らないのか、見えないところまですべて丁寧なノミが当てられています!)
●撮影機材 KONICA Eye2(Lucky SHD100)


 上のリード文で「これはもう一度キチンと再撮に行かねばなりませんね。」と結んだのですが、なんとこのタイミングでドンぴしゃり本日、k-1さまがまったく同じ神社の同じブッ犬をご投稿くださいました!
 写真も克明で文句無しの仕上がりです。なので再撮に行く必要が無くなってしまいました。
 こうして二人が同時期に同じもを採り上げるというのは万に一つの偶然ですが、それぞれ「見方」や「評価」が当然のこと違います。今回はあえて両方を掲載いたしますので、そのあたりの「見る目・感じ方の差」などをご覧頂ければと思います。




毛並みの筋彫りもエッジが立っていてとても美しいですが
子供の耳とママの手の間が透けていたりしています。
この小俣さんという人はどれほどの技術を会得していたのでしょうか!

2010.1.21

世田谷観音
生息地:東京都世田谷区下馬4丁目9番4号

 こちらでも、みなさまの投稿等でブロンズ製の狛犬はいくつか発見されていますが、コチラ、下馬の世田谷観音というお寺にはごらんのような鋳物で出来た鉄製のブッ犬が生息しています。実物は身長1mくらいはございましょうか、かなりの大きさで堂々たる迫力があります。製造場所は中国、製作年代は単に「清代」となっているいのですが、清という時代は1644年頃から1912年まで300年以上も続きましたから果たしてどれくらい昔のものなのか・・・・。
 同じ金属製でもブロンズの洗練さに比べ、鋳物では荒々しさがストレートに出ますから迫力という点ではコチラが勝るのではないでしょうか。

の狛犬について
●狛犬としての仕事ぶり度 ★★★(1枚目をご覧下さい、もうすでに左足で邪鬼を一匹踏みつぶしています!日本以外には「阿吽」という思想は無かったようで二頭とも「阿」になってますね)
●狛犬としての個性度   ★★★(材質の点では珍しいので)
●癒され指数       (鉄っけの多い人にはウケるかも)
●思わず笑っちゃう度   ★★(押さえ込まれている邪鬼が案外可愛くてネ)
●奉納日 康煕辛未年十月って鋳込まれてあります、西暦に直すと1691年。300年以上昔、中国にはこれほどのものを鋳造できちゃう技術がすでにあったんですね、ビックリしますね、中国の懐の深さには。
●作者名 後側のお尻付近にいろいろな漢字が浮き彫りになっているんだけど、それを解読する教養を持ち合わせていません。どなたか漢字に自信のある方、ぜひ、解読に挑戦してみてくださいませ。たぶん、作者名なども書かれているのだと思いますが・・・・。
●撮影機材 ミノルタX-7(Lucky SHD100)


2009.5.29



渋谷区

渋谷本町・氷川神社
生息地:東京都渋谷区本町5-16-2

 ここはかなり奥まった場所にある神社で、ほとんど地元の人しか所在地が分からないのではなかろうか。
 
もし興味がおありでしたら、webmapなどで所在地を確認してみてください。渋谷区とはいってもここは新宿駅から行くのが一番便利か、それでも徒歩で30分は掛かりそうです。
 こんな不便(?)な場所にあるヤシロでもお江戸の神社は何が飛び出すか分からないので油断が出来ません。案の定、居ました、居ました、拝殿の真ん前にドッカァ〜ンと一見して分かる古犬が・・・・!
 全身に花毛模様がありますので、ほぼ間違いなく江戸の犬です。夫婦で子を取っているなかなか風情のいい犬ですよ、父親の方はしっかりヤンチャ坊主を押さえ込んで教育中ですね。で、母親はと見ると出生間もない赤ん坊に乳を飲ませている最中ではありませんか。うん、これはいい、これは可愛い!
 で、裏に回って奥付書きを見てみますと奉納年はなんと「安政四年九月吉日」と彫られています、もう、152歳になるんですね。石工さん名も刻んであるのですが「○蔵」の一文字しか残っていません。かなり力の入った犬だけにお名前をぜひ知りたかったのですが、社務所に居た方もご存じ無いと言うことで諦めて引き返してしまいました。

 今回はミノルタの「ハイマチック・F」というカメラ一台で、散歩の途中に見つけた神社でしたのでそれで撮った4カットですが、まったく不足無く良い仕事をしてくれました。このハイマチック・Fというカメラはとことん信頼のおける良いカメラですね。

●狛犬としての仕事ぶり度 ★(4人で頑張っている姿は高得点)
●狛犬としての個性度   ★★(父親の花毛模様に惹かれます、ちなみに母親にはこの模様がついていません、雌雄をしっかり区別しています)
●癒され指数       ★★(乳飲みワンコににゃ弱いのです)
●思わず笑っちゃう度   (おかあさんの太い「眉毛」で少し笑えるかなという程度です)
●奉納日 安政四年九月(1857年)
●作者名 石工名が何だか彫ってあるのですが、○蔵としか・・・・。
●撮影機材 ミノルタ・ハイマチックF



2009.10.27

渋谷・金王神社
生息地:渋谷区渋谷3-5-12

 渋谷駅のごく近く、渋谷警察署うらにこの神社はあります。大昔には「渋谷城」というお城の跡地だった場所なので、この近辺では一番高台に位置しています。
 本殿を守る狛犬は実に大きくて立派なものですが、それはあまり真面目すぎておもしろくないんです。
 で、ボクが目を付けたのは横っちょの小さな御嶽社のヤシロを守っていたこの小さなワンコたち。体つきは普通なんですが、ヘアースタイルがなんともシブヤチックで個性的!

●狛犬としての仕事ぶり度 ★(本人たちはマジメに働いているつもりのようなので一応、星みっつ)
●狛犬としての個性度   ★★
●癒され指数       (阿クンの方はどう見ても笑い顔にしか見えない)
●思わず笑っちゃう度   ★★★(彼らと対面したとき、おもわず声だして笑っちゃいました、うん、やっぱりこのヘアースタイル、イイっ!)
●奉納日 昭和12年10月吉日
●作者名 ーーー
●撮影機材 ミノルタ・X-7 (35-105mm)


2009.5.2

千駄ヶ谷・鳩森神社
生息地:東京都渋谷区千駄ヶ谷 1-1-24

 こちら、境内に正式には3対の狛犬が各入り口の番をしていて、たいそう立派なおヤシロなのですが、なかでも一番古いこれにどうしても目が行きます。
 吽君の方は、長年の風雨で口元が黄昏ていますが全体の表情はハッキリ分かります。台座には「享保二十(1735)乙卯年九月吉辰」と今でも明確に読みとれますからもう270年以上ここでジィ〜ッとしているんですねぇ。
 よ〜くみると、目とか鼻が江戸で最古の狛犬と言われている「六郷神社」の犬と特徴が似てますよね。もしかしたら同じ石工さんなのでしょうか、時代的にはそんなに矛盾していませんし・・・・?

 さて、このおヤシロにはトップの写真のバックにも写っていますように立派な「富士塚」があるんです。ここのてっぺんまで登れば富士山詣でと同じ御利益が得られるンだとか・・・・、ボクもその御利益を頂こうと登ってみましたが、この登山道がオモシロイのです。道のアチコチに相当にお歳を召されたワンコがところどころで登山者を見守ってくれています。たぶん、大昔、この神社の「正式」な狛犬だったものかもしれません。3枚目以降がその彼らなのですが、どれも「時代」が付いて良い風情で佇んでおるのでございます。

●狛犬としての仕事ぶり度 ★(お歳を召されてかなり丸みが出てきてますが、ちゃんと基本の阿吽でガンバってますから)
●狛犬としての個性度   ★★
●癒され指数       ★★(富士塚の方も含めての得点です)
●思わず笑っちゃう度   ★★★(可哀相ですが、4枚目のワンコと目があったときには思わず・・・・)
●奉納日 享保二十(1735)年九月
●作者名 石工名が何だか彫ってあるのですが、よく読めませんでした。
●撮影機材 ミノルタ・X-7 (35-105mm)


2009.4.29


目黒区

目黒・氷川神社
生息地:東京都目黒区大橋2−16−21

 この神社は青山通り(R246)沿いにあって、場所もかつて美空ひばりさん住んでいたすぐそばなので探さずとも一発で分かる目立つ場所にあります。
 で、国道に面した鳥居をくぐって急峻な階段を息が切れるあたりまで上り詰めると、まず(1)のかなりな老犬がお出迎え。これとて天明期のブッ犬らしいので(正確な年数が記されていない)軽く220年以上をここで過ごしている犬ですが材質が良いのか保存の仕方が良いのか、とっても綺麗な肌合いでお座りしています。
 さらに行くと(2)のブッ犬が本殿の前でぼくらを出迎えてくれます。これは撮ってきた写真があまりにもヘタクソで、その仕上げの凄さがまったく伝わりませんが、ものすごく念の入ったノミの冴えを見せてくれる狛犬で、ボクが今までに見てきたものの中では最上位クラスの「作品」と呼べるほどのブッ犬です。制作年は昭和7年でかなり新しいものなのですが、観賞用としても充分に見応えのある物です。
 この氷川神社には全部で4対ものワンコが居る狛犬ランドのような所なのですが、ボクが一番惹き付けられたのが(3,4)の龍のような麒麟のような顔をした小さな狛犬です。これを果たして狛犬と言ってしまっていいものなのか疑問も残るのですが、その居住まいからしてやはり狛犬を目的として彫られた物ではないのかと考えました。この像には残念ながら制作年や制作者を彫った跡などがどこにもみえなのですが、巻き毛の表現などはまるで「埴輪」のようでもあり、各部のエッジの甘さや顔の表現、台座の大らかさなどを見るとやはり明治以降と言うことはなさそうです。


(1)急峻な階段を上り詰めて最初に逢えるのが、このワンコ

(2)この神社の権威や格に合わせているかのように
ものすごく出来の良い昭和7年奉納のブッ犬
石工・廣山藤吉 彫刻・小室○松と2名の銘が入ってます

(3)今回、ボクが注目したのがコレ。

(4)その顔つきに何となく遠くギリシアや中央アジアの臭いもするのですが
この作者は何を手本にしたのか興味の湧くところ・・・・

氷川神社(3,4)の狛犬について
●狛犬としての仕事ぶり度 ★★(2頭とも口を開けて威嚇するも、体つきと姿勢が優しすぎますね)
●狛犬としての個性度   ★★★(この手のお顔とは座りスタイルは他に見たことがない、この石工さんは何をてほんにしたんだろう?)
●癒され指数       (これ、原物は相当に小さいのです、このスタイルと顔で大きいと威圧感のみになってしまいますが、小さいというだけで「徳」をしています)
●思わず笑っちゃう度   0(笑える要素は一切ありません。今回は座りのカタチと麒麟のような顔でピックアップしたもので・・・・)
●奉納日 ーーー
●作者名 
ーーー
●撮影機材 マミヤ・ルビースタンダード(Lucky SHD100)

2009.7.18


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