東京で暮らしている狛犬達・・・城東編

千代田区

九段・筑土神社
生息地:東京都千代田区九段北1-14-21

 この狛犬は、台座部分もあわせると高さ1.5mほどになる1対の石像です。左右の像とも本殿から見た面に「元飯田町」「惣氏子中」「安永九庚子(かのえね)十一月」という文字が刻まれています。
 元飯田町というのは、現在の富士見一丁目および九段北一丁目あたりのことです。天正十八年(1590)の家康の関東入国ころより、このあたり一帯を「飯田町」と称していましたが、元禄十年(1697)の大火事で町全体が築地に移されて「南飯田町」となった際に、残ったこのあたりの地名を「元飯田町」と呼ぶようになったようです。
 また、この狛犬には阿像には「つの」が、吽像には「宝珠」が乗っていますが、これは古い狛犬の特長で、厳密にはツノがある方が「狛犬」、宝珠が乗っている方は「獅子」を表現したものです。

 と、区の教育委員会が作成した看板にはそんなことが記されていました。
 この写真でも解ると思いますが、両像ともススで真っ黒焦げになっていますが、これは震災か戦災のときの火災で炎を浴びたものと思われます。
 場所的には、靖国神社の真ん前、皇居・田安門の直近ですので、こんな皇居の近くまで爆撃があったとは思えませんので、震災での被害かも知れません。


http://www.tsukudo.jp/


●狛犬としての仕事ぶり度 ★(とってもトラッディッショナルなブッ犬で、いかにも徳川の息の掛かった江戸犬で強烈な存在感があります)
●狛犬としての個性度   ★★(江戸尾立ちの典型で、このスタイルとしては最終型とも思えるほど完成度が高い!)
●癒され指数       (立派に怖い顔ですから一般の人に対しての癒し度は低いですが、好事家にはウケますね)
●思わず笑っちゃう度   (無理です!)
●奉納日 
安永九年十一月
●作者名 
ーーー
●撮影機材 キヤノン FTb (50/1.8)


2010.12.22

赤坂山王・日枝神社
生息地:東京都千代田区永田町二丁目十番五号

 東京に数ある神社の中でも名門中の名門のような神社がここ、赤坂山王・日枝神社です。表通りの溜池通りに堂々面しているのですが、ヒルトップに位置しているためと、近年の改修でブラインド的なアプローチに変えてしまったために、ここに神社があるこさえよく分からないような作りになっています。
 そのアプローチはさすが大都会のど真ん中に位置する名門高級神社らしく、なんと表通りから2基の連なる長いエスカレーターに乗って本殿まで近づくことが出来ます。ボクのような坂道・階段が苦手な参拝者にはこれほど嬉しい設備はありませんが、神社で固有のエスカレーターなどお持ちなのはまだココでしか見たことがありません。
 さて、肝心の狛犬ですが、さすがに一流神社だけにココでは3対の狛犬が棲息していました。
 その中でも、ボクが注目したのは本殿右横に築かれている末社の「日吉神社」を護っていた江戸・文政時代から暮らしているブッ犬で、もう、見るからに血統書付きのワンコのようで、その毛並みたるや、まるで大名の屋敷で飼われているような品の良さなのです。で、またこんな東京の中心地にありながら震災や戦災をよほど上手くくぐり抜けたのか実に保存状態もよく、今日でもほぼ完成時のままの状態を保っている珍しいブッ犬でもありました。

日枝神社内末社の日吉神社の狛犬について
●狛犬としての仕事ぶり度 ★(なんといっても190年の「実績」を買わないわけにはいきません)
●狛犬としての個性度   ★★(写真が下手くそで肝心の毛並みがうまく表現できていませんが、現物を生で見ると相当なものです)
●癒され指数       (高級なお座敷犬ですから、正直、あまり癒されたりはいたしません)
●思わず笑っちゃう度   0(嫉妬心が起きるほどですから笑えません・泪)
●奉納日 文政三年六月(1820年)
●作者名 
ーーー
●撮影機材 ミノルタ・ハイマチックF(Tmax 400)


これが末社の方を護っている文政時代のワンコ
どうでしょう、背中から尾にかけての「毛並み」が高貴ではありませんか

よだれかけはなんと真紅の絹布です
サイズもピッタリなので特別オーダー品でしょうね
ったくぅ、犬のくせして!


こちらが本来(本殿)の狛犬
こちらとて、充分に良いものなのですが
今回は控えに廻ってもらいましょう

この2対の狛犬は両方共にお口が開いていて
阿吽の形式を継承していません、何かワケでもあるのかしら?

2009.8.12

九段・靖国神社(大鳥居側)
生息地:東京都千代田区九段北3丁目1−1

 靖国神社には大鳥居のある正面門の他に、南と北にも門があって狛犬がいますが、ここでは大鳥居の前後を守っている2対の狛犬を見ていただきます。

第1の狛犬(前側)
 ものすごく特徴のある形態をしています。いわゆる標準的な狛犬のスタイルは無視していて、どちらかというと「彫刻作品」の様相を呈しているほど完成度が高いもので「
作品」と呼べる力が充分にあります。この顔、この体つき・・・・どうも「忠太動物園」からやって来たように思えて仕方がないのですが・・・・・。

●狛犬としての仕事ぶり度 ★(大きさ、迫力、脅し力とも文句の付け入るスキが有りません)
●狛犬としての個性度   ★★★★
●癒され指数       (忠太動物園ファンの人なら少しは癒されるなか?)
●思わず笑っちゃう度   (無理です、コレ見て笑うなんて・・・・)
●奉納日 
昭和8(1933)年
●作者名 
(たぶん?)伊東忠太さんであってほしい
●撮影機材 ペンタックスA-3


 3枚目の子が背中に乗っているものは大鳥居をくぐった先にあります。これ「狛犬」ではなく、「唐獅子」というもの。日清戦争が終わったときに中国から持ってきたものだそうです。背中の子供がママそっくりな顔でとっても可愛いのですよ。

 4枚目のものは、そのさらに後を守っている狛犬で、これが靖国の中では一番オーソドックスな狛犬かもしれません。このほかに南門を守っている狛犬がもう1対いますが、これもすごく忠太臭が漂う素晴らしい狛犬です。ということで、靖国神社には現在、計4対のワンコで本殿を守っています。



2009.5.15

 

江戸川区

小松川神社
生息地:東京都江戸川区小松川3-1-2

 このお宮さんの大鳥居を潜った瞬間に「うわっ!!」と思わず大発声してしまいました。鳥居からこの狛犬達が居るところまではおおよそ20メートルくらいだったでしょうか。2頭の子ども達が台座から落ちて遊んでいます。
 「うぅ〜ん、カワイイ!」これほど独立させている「子取り」は非常に珍しい!それも親子で一対のまとまりをシッカリ演じているのですから、この作者の構成力と技量はすばらしいものがあります。
 昨年、ナンマイダーさまにご紹介いただいた横須賀の「西浦賀・叶神社」の隠れん坊犬以来の驚きです。
 そして仔細に観察すると、阿ママには「吽坊」、吽パパには「阿娘」と実に凝った演出をやっているんですね。うん、もう参った、参った!!!

の狛犬について
●狛犬としての仕事ぶり度 ★★★
●狛犬としての個性度   ★★★★(一も二もなく、こういうのダイスキ!)
●癒され指数       ★★★★★★(この親子を見ていると、もう知らず間に涙しているほどです。コマイヌ見ながら感涙しているワタシって、病気でしょうね、フツ〜の人から見たら・・・・)
●思わず笑っちゃう度   (この場合は「可笑しく」笑うのではなく、微笑ましくてニヤニヤしてしまいます)
●奉納日 昭和十一年九月
●作者名 石工さん名が何処にも刻まれていません。非常に残念!
●撮影機材 Fijifilm Silve f2.8

 




子どもとはいえ、もうすでに74歳ですから結構傷みが
きています。戦争の爆撃にも耐えた丈夫な子です。
これからも、小松川の町民のためにガンバってね。

2010.10.28

三谷八幡神社
生息地:東京都江戸川区北小岩8-23-19

 東京の北小岩というところ、まわりにはまだ畑が残っているような長閑な場所。江戸川の土手っぺりに寄り添うように小さな一社が佇んでおりました。境内の敷地もそこそこ広くて普通であれば子供達の遊び場となってもおかしくないようなヤシロですが、シ〜んとして静か・・・・。
 正面から徐々に近づいていくととてもお顔の大きそうな狛犬が遠望できます。「うん、いる、居る、なんだかスゴイのが居るぞっ!」
 狛犬探訪をしていてこのように遠くから犬影を発見し、それが明らかに「ヘン!」だったときほど期待感で胸が膨らむときもないですね、もう、心拍数もかなり上がっちゃって近づく足並みも相当に早くなってしまいます。
 はたして、そばまで行ってみるとこの写真のようなワンコが出迎えてくれました。わぁ〜、なんて可愛い親子犬なんでしょう、そしてなんと独創的な狛犬!!!
 どうみても専門の石工職人さんが丹誠を込めたとは思えないそのフォルム、いったいどういう流れでこの子達がココに・・・?あいにく、社務所や宮司さんの家屋も無いような小さな村社で、おまけにヒト一人近くにおりませんので、由縁をお尋ねしようもないのですが、このようないかにも素人削りっぽい犬はとても魅力的です。フォルムやディテールはガチャガチャですが、そのノミ跡には「一生懸命」さが溢れています。いいですねぇ〜・イイですねぇ〜、本当に素晴らしい。超一級の職人技を極めた名品を眺めるのも福眼ではありますが、このようなプリミティブでも心のこもった一生懸命犬に出会えると、2,3日は心穏やかに過ごせます。

の狛犬について
●狛犬としての仕事ぶり度 ★★★(一見すると「阿・阿」のように見えますが父親の口の開け方が僅かに小さく、「吽のつもり」であることが理解できます。なので80点)
●狛犬としての個性度   ★★★★★(もう、これ以上の個性って無理でしょ)
●癒され指数       ★★★★(一目見てからおよそ30分はここで悠に過ごせます。遠目で見たり接近したり、アタマをなでたり子供を抱いてみたり・・・)
●思わず笑っちゃう度   ★★★(どうしてもニヤニヤしてしまいますので、近くに人が居ないときに行った方がいいです、危ない人に見られそうなので)
●奉納日 昭和八年???(残念です、以降が剥落していて不明です)
●作者名 これまた「江面」までは残っているのですがそれ以降が剥落していて不明です。
●撮影機材 CANON FTb (50/f1.8)




2010.1.25

 

江東区

木場・洲崎神社
生息地:東京都 江東区 木場 6丁目 13-13

 ここへはあの池波正太郎さんもちょくちょく訪れたんだとか・・・・。境内のすぐ脇に川なども流れていてとっても江戸の雰囲気がぷんぷん漂っているヤシロです。もちろん、ワンコ達だってご覧の通り普通じゃございません。大体にして多くの狛犬は「阿」さんの方が表情を出しやすく、「いいもの」のワンコではそのほとんどに「吽」クンではなく「阿」さんに傑作が多いものなのですが、唯一ここの狛犬だけは圧倒的に「吽」クンの方がいい!どうです、この爆笑を誘う睨み方、最高でござんしょっ。

洲崎神社の狛犬について
●狛犬としての仕事ぶり度 ★★★(本人達はソノ気なんだけど、どうしても笑わずにはいられません)
●狛犬としての個性度   ★★★★★(「二番組」の台座が効いてますよね、とにかく江戸の粋さがカッコイイ!)
●癒され指数       ★★★★(うぅ〜ん、やっぱり吽クンの顔)
●思わず笑っちゃう度   (うぅ〜ん、やっぱり吽クンの顔)
●奉納日 不明
●作者名 不明
●撮影機材 Pentax Z50P

 

そんなに強そうな顔しても無理・無理・・・・
どうしたって笑っちゃう。

なんて愛しいヤツらなんだ!

2010.3.19

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