ELMOFLEX 3-F

Zuikoの憂鬱

 今回はwebオークションで入手した「エルモフレックス3-F型」です。
 株式会社エルモが造ったカメラだから「エルモフレックス」。
 エルモといえばこれはもう光学製品のブランドとしては一流中の一流。
 創業は大正10年、1950年代はシネカメラ、60年代からは8ミリカメラ、特に映写機に関しては圧倒的なシェアを誇っていたメーカーです。小学校や中学校の教室で映画を見るときは決まってエルモの映写機が活躍していたものです。
 そんなエルモですが戦後すぐに二眼レフカメラを造っていたんです。
 昭和21年の半ばに1型を21,000円で売り出したのが最初。
 国民的カメラで有名なリコーフレックスが当時7,300円ですから3倍もする高価なカメラだったんです。この3-F型は物資や工作機械に多少余裕が見え始めた昭和28年の中旬に売り出されました。
 一流品の本道を行くべくエルモフレックスは初号機を除いて代々オリンパス・ズイコーレンズが搭載されています。
 シャッターについても3型になってからは当時最高の性能と謳われた1/500秒が切れる「セイコーシャラピッド」を奢るなど、これでもかと言わんばかりの豪華装備です。
 勿論、ボディの作りだって全く手抜きはなく各ノブのターレットやギア類、ダイキャストの精度、プレス部品の摺り合わせなど、どれもしっかり出来ていますよ。
 昭和30年頃までこのエルモフレックスは生産されたのですが、スチールカメラはそれっきりで35mmカメラにも目は向けていたのでしょうが、商品化はされなかったようです。ちょうど、その頃は8mmシネカメラが大流行の兆しが見え始めていた頃で、開発の主眼は得意分野のムービーカメラに絞り込んだものと思われます。
 なんといっても一家の行事が映画のごとく(映画なんですが)動きを伴って見られるのですから、これは新鮮な感動がありましたね。私も子供の頃、友達の父親が撮った運動会の様子を友達同士集まってはその父親にねだって繰り返し見ては喜んでいました。
 しかし、なんたって主演はその家の子ですから上映時間の100パーセントはその子が占めているのですが、それでも画面のほんの端っこに1秒くらいピントのあっていない自分の姿が映っているのを見るのが楽しみでした。
 そして、上映が終わるとフィルムを巻き戻すのですが、その時に逆回転で動く人の動作の面白かったこと、面白かったこと。ゴールを前に後ずさりしながらスタート地点まで大急ぎで戻っちゃうんですね。この動作には子供同士で腹を抱えて笑い転げました。
 あなたにもそんな幼い頃の記憶が残っていませんか?

 さて、話をエルモフレックスに戻しましょう。
 このカメラを最初に手にしたとき、当然のごとくレンズは白内障に侵されていましたが、ズイコーレンズ搭載は知っての入手なので憂鬱ですが想定の範囲です。一応全てのレンズをバラして症状の進行具合を確かめました。
 すると不思議なことにビューレンズは全く透明なのです。侵されているのはテイクレンズの前玉内側と後玉両面です。凹レンズの中玉は透明で問題ありません。
 ビューレンズにもテイクレンズと同様の「Olympus Zuiko F.C.」という刻印があるのですが、硝材やコーティングが違うのでしょうかね。逆だったら良かったのにと思いましたが、まぁここは諦めるしかありません。
 この白濁は今までの経験上、クリーナー液では落とせた試しがありません。
 以前ビューティフレックスで実施した荒技「最後の手段的研磨」を用いるしかなさそうです。ビューティフレックスの時は後先考えずにいきなり磨いてしまいましたので、ビフォアーアンドアフターが判らずじまいになってしまった反省がありますので、今回はこのままどこも触らずに組んで、一度試写してみることにします。
 参考のためにその時のカットを下に入れておきましたが、案の定ひどいものです。ボォーッとしてコントラストは無いは、輝度が高いとフレアーになっちゃうわで・・・。

 さぁ、このレンズが「最後の手段的研磨」でどれほど改善するのでしょうか、早速やってみましょう。
 今回は番手の違う2種(#20000と#30000)が入手できましたので、濁り落としを#20000で磨き、仕上げに#30000で表面を処理することにします。


 まずは、かなりいっちゃてる前玉裏側から始めます。
 前回同様5分間ほどミガミガして様子を見てみると、なっ・なんと全く変化が見えません。ビュティーの時はこれで殆ど透明になってくれたのですが・・・。
 もしかして硝材自体が白濁しているのかな?と、光に透かして慎重に観察しましたが、どう見ても裏側の表面が曇っているようにしか見えないのです。もし、硝材自体が白濁してしまっていたらアウトです、手も足も出せません。
 もう、ここまで来てしまっては後へは戻れないので気を取り直して再度研磨を続けてみることにします。
 そして更に磨くこと20分、センター部を中心に60%ほどが透明になってきました。観察の判断は正しかったようです、やはり曇っていたのは表面でした。
 更に周辺部を20分ほど掛けて磨きほぼ全体が透明になりました。
 材質の差でしょうがこのズイコーレンズを侵している白膜は相当頑強です。
 結局、後玉両面も綺麗になるまで2時間ほどの作業が必要となってしまいました。
 昔のズイコーレンズって殆ど白内障を患っていますが何でなのでしょうね・・・。ガラス材の関係かどうかは判りませんが、コーティング膜が酸化しちゃうんでしょうか。
 まぁ、どちらにしてもこうして透明になったレンズはコーティングも一緒に磨き落として仕舞っているので、ピーカンの日や強い反射のあるような被写体は無理を聞いてくれなくなります。

2003.7.2

 

ELMOFLEXの作例です。

6月半ば、薄曇りの日を選んで研磨を終えたカメラを持って湘南・茅ヶ崎海岸へ連れ出しました。
治療の前と比べていかがでしょうか・・・。多少の効果はあるように感じませんか。

以下の写真は、Agfa APXをエヌエヌシー社のND-76で標準現像したものを
Canon D2400Uでフィルムを直接スキャニングした画像です。

1. 白濁のままでテスト・その2
さらにフレアーが強烈になりコントラストもご覧の通り

以下は研磨後に撮影したものです。

2. 左後ろの白い花が厳しいですが

3. 眠たいのにゴメンね(ほぼ最短距離です)

4. お馴染みPuppy君、海はダイスキです。

5. みんな海開きまで待てないのねぇ

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