Canodate E

この先、70年辛抱すれば使える!

 えぇ〜、キヤノンのカメラを使っていていつも感じていることですが、キヤノンという会社は商品に対してネーミングの与え方が本当に巧いですね。
 商品の販売戦略にとって商品名というのは大切な要素で、その適否によって売り上げが極端に変わることが往々にしてあります。同じ様な性能(効能)の競合商品がずら〜っと並んだなかで、購買者にどれをチョイスして貰うか・・・最後の決め手は色や形(デザイン)や性能に負うことが多いのですが、ネーミングもかなり重要な要素です。
 近年の例では防虫剤「タンスにゴン」、自販機飲料「午後の紅茶」などの成功例がありますがどれも競合他商品に対してネーミングの力で勝ち抜けた商品ですね。
 キヤノンが販売戦略にネーミングを意識し出すのは1961年発売の「キャノネット」の頃からです。それ以前は他社同様「4Sb」とか「7」というようにアルファベットや数字を用いた味気のない記号で命名されていました。いずれも上級者をターゲットにした高級RFカメラ路線だったので敢えて消費者の印象に強く訴えかけるような苦労はせずとも差し支えはなかったのですが、ビギナーを取り込んでの販売拡大路線を図るにはネーミングが重要と云うことに気づいたんでしょうね。
 以来、キヤノンでは大量生産品種のパーソナルカメラについては練りに練ったネーミングを与えて競合製品を押さえ込んできたわけです。無論それには高性能で割安感のある価格という裏付けがあってこそなのですが・・・。
 「キャノネット」の記録的な成功から始まり「デミ」「オートボーイ」「IXY」「EOS」、近年の大ヒット「Kiss」に至っては一人勝ち状態が延々続いています。
 この成功の原因って何なのでしょう。勿論高性能カメラとしての商品力もありますが、ネーミングについても相当熟慮された先進性やインパクトを感じることが出来ますね。
 永遠のライバル・ニコンが満を持してKissの後を追うべく戦いを挑んだコンパクト一眼は「Nikon U」!おおぉ〜「ユー」ですって、何と印象希薄なネーミングでしょう、性能はどうあれ勝負は戦う前から着いています。「Kiss」の衝撃に「U」で勝てると思ったのでしょうか?
 ニコンという会社はこと販売戦略に関しては昔から有能な人材がいないのでしょうか、それともあくまで実を取るということで腹を括っているのでしょうか。しかしそれでもキヤノンと共に世界の二大巨頭を堂々と張っているのですから大した物ですね。

 というわけで今回の本題は「キャノデート E」です。これも実に語呂がいい、スパッと填っています。
 キャノデートの「デート」はもちろん日付が印字できることから来ていますが、若人のデートのお供にもという意味合いも含めたものでしょう。1970年に発売されたカメラですから、写真に日付を入れるなんてまだどこもやっていなかったときです。ですからこの世界初の写真に日付が入るというセールスポイントをダイレクトにネーミングに反映してインパクトを持たせたわけですね。
 キャノネットのG-IIIが1972年の発売なのでこの「キャノデート E」は結構古いカメラなんです。
 日付を印字するための機構は勿論完全なアナログ式で鏡胴右側に設置してある白いプラ製の歯車を爪先でコキコキやって設定します。もっとも私の機体は1972年製らしく年号が72年から始まって92年で終わっていますので、この日付装置をまた生かそうとしたらあと70年辛抱して2072年まで待たなければなりませんが・・・。
 このカラクリを埋め込んだためにボディはやや膨張しコンパクトカメラとしては大柄になってしまいました。

 コストとの兼ね合いか随所にキヤノンらしい手抜きが見えてくる箇所もありますよ。
 65年に開発され好評を得てきたQL(クイックローディング)は置き去りになっていますし、合焦もヘリコイドを廃止して前玉回転式にするなど、良く言えば適材適所、悪く云ってしまえばいつものキヤノンのやり口ということになってしまいます。
 全体のまとめ方は実にそつなくキヤノンらしいラインでデザインされていて美しい仕上りをしています。特に目を引くのは両サイドの金属パネルが剥き出しになっている所でしょうか、底辺のラインからつながるこの鉄板剥き出しは非常に効果的でモダーンな印象を与えていますね。こういう処理の仕方は先ず他社では真似の出来ない心憎いほどのお家芸です。

 さて、使い勝手ですが電子式のプログラムシャッターカメラとしては可もなく不可もなくなのですが、このレリーズフィールは「ミノルタHi-matic E」のところでも書きましたが何度経験(セイコーESF)しても馴染めません。ガムを踏みつけたようなグニュ〜ッとしたメリハリのなさ、どうも好きになれません。(ESFファンの皆さん、ゴメンナサイね)
 しかし、距離計などは心配になるほど短い基線長にも関わらず結構正確で二重像の見え方も良いし、距離リングの回転角も理想的な出来映えです。また被写体との距離に連動して光量を加減してくれるフラッシュマチックも装備されているので、指定機材を使う限りは失敗しがちなフラッシュ撮影もオートで任せられる点も便利に使えるカメラです。

 早速このカメラをもって、神田神保町の古書店街をうろついてきました。都市再開発が目の前まで迫ってきていますが、30年前と変わらぬ風景も数多く残っていますね。
 そうそうここ神保町はビューティフレックスの生誕の地、「太陽堂カメラ」もまだ健在ですよ。もっとも今は普通のカメラ小売店になっていますが・・・。

 

ビュッカーさんの報告

2003.7.22

 

Canodate Eの作例です。

以下の写真、カラーはKONICA センチュリア400で、
モノクロは8がプレスト、それ以外はコニカパン100をエヌエヌシー社のND-76で標準現像処理。
Nikon Coolscan IVでネガフィルムを直接スキャニングした画像です。

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