Bolsey B

巨人・大鵬・卵焼きは大嫌い!

 日本人の典型的な国民性の一つに判官贔屓(はんがんびいき)というものがありますね。意味は説明するまでもなく、弱者や薄幸な人に同情し味方に着くことですね。この言葉の判官とは「源義経」のこと、兄の頼朝にいじめられ滅ぼされたことに民衆が同情し、味方をしたことが語源になっているのはご承知の通 りです。
 芸能人や政治家が人気を保つ秘訣も実はこの「判官贔屓」を演じきること。常に弱者や庶民の味方であるようなフリをしていることが大切なのです。外務省を伏魔殿と言い放ったお方も、利権獲得の手先人間が大勢固まっている自民党をブッ壊すと演説したお方も、人気だけは相当なものですがこれもフリをしていることは明白、大の大人なら誰でも看破できちゃいます。
 私も一応、日本人なので、この国民的性癖は持ち合わせているようで、子供の頃からアンチジャイアンツ(生国はお江戸なんですが、何の因果かドラゴンズファン)、栃若時代は栃錦、柏鵬時代は柏戸、時計はセイコーではなくシチズン、トヨタ車には一切関心が無く、おまけにカメラもニコンは1台も無しと絵に描いたような分かり易い、実に単純な判官贔屓人間です。
 それじゃぁ巨人・大鵬・卵焼きが好きでセイコーの腕時計をはめ、トヨタの車に乗って、ニコンをぶら下げている人はどうなんだ、日本人じゃネェ〜とでも言うのかと怒られそうですが、そうではないのです。そういうお方は、損することを由としない人生の達人なんですね。長いものに巻かれてしまえばさぞかし楽になれるのでしょうが、それが出来ない!こちらは損ばっかりの人生なのであります。

 さて、ここに薄幸なアメリカ製カメラ「ボルシーB」があります。なぜ薄幸なのかと言えば、見た目は可愛らしいのですが使い勝手がどうも今一つらしい。 お店のウインドーで見たときは、その可愛らしいユニークなデザインで衝動買いをしてしまいがちなカメラですが、実際に使ってみるとシャッターブレを連発する、持ちにくくて落としそうになる、ファインダー倍率が低すぎる、分割窓のファインダーは面倒だ等々・・・・買ってはみたもののどうもうまく馴染まない、なので嫌気がさしてすぐ売ってしまう。この繰り返しでお店にとっては1台のカメラで何回も商売が出来る有り難いカメラなのですが、カメラ本人(?)はなかなか定住先が定まらない、故に薄幸と申し上げたわけです。
 薄幸となれば私の出番!上等です、「ボルちゃんよ、ボクが味方になるかんネ。今までの文句はことごとく蹴散らしてやんかんネ。安心してボクの所にいていいかんネ・・・」と。

 そもそも、鬼才ヤコブ・ボルスキーさんがスイスを飛び出しアメリカに渡って最初にこさえた(もしかすると「ボルシーA」というのが存在していて、それが初号機かもしれません)カメラですから自分の名声に傷が付くようなものを造るわけがないでしょ。
 まず巷間、最も多く言われているブレの問題ですが、これは明らかに言っている人の認識不足、このカメラにはエバーセットシャッターが搭載されていますが、この形式はシャッターレバーを押しながらバネに力を蓄えるわけですから、このカメラに限らずどんなカメラでもラフに押したら必ず反動でブレちゃいます。ましてこのボルちゃんの場合は1/200秒というエバーセットにしては超高速を備えているのでバネを引く力もかなり強くなっているので、その辺りを理解して使って上げる必要があります。
 と言っても難しいことは一つもありません、指先をリングのギザギザに固定しておき(ここがコツ)、人差し指の腹を使ってグニュ〜っと粘るように(ここもコツ)押せば1/10秒でさえブレることなくレリーズできます。
 
次に、持ちにくいと言うご意見があるのですがコレが私にはまったく解らない!私がヘソ曲がりだから言うのではありませんが、これほど持ち易いカメラもないでしょう。
 一番の特徴である両側の背中が前に迫り出している形状は実に理に適った形で、カメラを構えると両手の親指が自然とこの迫り出した部分を掴まえることになります。

 
従ってファインダーを覗くときに親指が邪魔にならずに眼をピタッと接眼レンズに寄せることが出来るじゃないですか。「オォ〜、ボルスキーさんよ、流石でございます。何と素晴らしいアイデア、あなたは天才だっ!」カメラボディがある程度大きければ指の位置などさほど問題ではありませんが、ここまでボディが小さいと親指が非常に邪魔になります。
 もし、オリンパス・ペン(ボルちゃんの幅はペンとほぼ同様です)をお持ちでしたら試しに構えてみてください。ほ〜らね、親指がこんなにも邪魔しているでしょう。ペンは好きなカメラですし、悪口を言うつもりはないのですが、ペンより10年以上前に設計されたこのカメラの秀でた一面 をご紹介したかっただけですので悪しからず。
 ファインダー倍率や分割式に関してはもう慣れの問題ですから、オーナーになった以上は慣れなさいとだけ申し上げておきましょう。
 肝心のレンズは「ウォーレンサック44mm/f3.2」、1940年代を代表するアメリカの銘3枚玉 ですね。このボルシー以外にもグラフレックス社の「Ciro35」など多くのカメラに使われているポピュラーなものです。逆光ではちょっと落ち着きが無くなる弱点がありますが、コントラストもしっかりしているし、よく写ります。

 ボルちゃんよぉ〜、今日のところはこんの位でいいかなぁ〜・・・。また誰か文句行って来たらギャフンと言わせてやるからネ。

2003.11.25

 

Bolsey Bの作例です。

以下の写真は、NEOPAN SSをND-76で標準現像処理。
Nikon Coolscan IVでネガフィルムを直接スキャニングした画像です。

1. (開放・1/10秒)

2.

3.

4.

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