baldax

対決:テッサー対トリオプラン


2台のバルダックス、左がマイヤー社製のトリオプランレンズ付、右はツァイス社製のテッサーレンズ付。
レンズの違い以外は全く同じカメラ。この他に、シュナイダー・クセナー、シュタインハル・カッサー、
ローデンシュトック・トリナーなどのレンズが付いたものがありました。

50万円のbaldax???

この2台は1934年(昭和9年)にドイツより輸入された「バルダックス」というセミ版カメラです。
 カメラのクラスからするとツァイスのイコンタに手が届かない層が競って求めたもののようで、日本でも結構売れたカメラらしいです。
 この時代のドイツカメラはレンズとシャッターに高級品から普及品までいろいろなバリエーションを揃えていたようで、同じ名前のカメラでもレンズ違い、シャッター違いが沢山あって非常に頓雑です。これは同機種で価格差を付けるためのもので、ライカやコンタックスのようにレンズが交換出来ない蛇腹カメラとしては選択肢が増えて良い方法なのですが・・・。
 このバルダックスにも数種のレンズ違いがあって買う側の予算によって色々選べたようです。当時は何といってもテッサー様々で、製造元のツァイスも他社にレンズを分け与えていたこともあっていろんなメーカーのカメラでテッサーレンズ付というのがありますね。
 当然このバルダックスにも最上級にテッサー75mm/f3.5付がありました。ならば、テッサー以外は駄物なのかという疑問が湧いてきます。これはかなり前からあった自分なりの疑問で、他の方の撮った写真ではどうも今ひとつ疑問が溶解しないので、ここはひとつ自分で試してみることにしました。

 私が用意することが出来たのは、テッサー75mm/f4.5のレンズにコンパーシャッターのコンビの物、更に一台はマイヤーゲルリッツ社製トリオプランレンズに75mm/f4.5レンズに同じくコンパーシャッターの付いたものの2台です。
 共にコンパーシャッターで開放値も4.5、違いは4枚玉のテッサーと3枚玉のトリオプラン。
 さて、どんな違いが出るのでしょうか、まずは作例をご覧ください。

 私の下手くそな作例からは結論など出せるわけはないのですが、確かにテッサーは先鋭度が高いようです。目測機での使用なので、ピントのピークは微妙にずれていますが、1枚目の一遍上人の手元や2枚目のオートバイのシリンダーブロック、3枚目の給湯のぼろ看板に片鱗が出ているように思います。
 特に注目したのは、周辺の解像で全くビクともしない堂々としたもので、悔しいながらこんな表現が出来る戦前の和製レンズにはお目にかかったことがありません。日本がこのレベルに追いつくのはなお20年以上の歳月がかかってしまいます。
 一方のトリオプランですが、こちらはまた何と懐の深い艶めかしい絵を描くレンズなのでしょうか。しっかりとしたヌケの良さで階調に艶やかな品があります。むしろ画質の品格とか高級感はこちらの方が上とさえ感じます。
 しかし、これは現在の素晴らしい品質の感材がなしえた悪戯で戦前の質の悪いフィルムではこうはいかなかったのでしょう。  さて、皆様はどうお感じ頂けたでしょうか。

 この2台は当時の価格でテッサー付が215円(現在の価値で約 50万円)、トリオプラン付で110円と2倍近い価格差があるのですが、こうして撮り比べてみるとテッサーが決して上等は言いきれないですね。
 それにしても昔はカメラの高価なことに驚きますね、トリオプラン付の方でさえ現在の価値で20万円以上ですから・・・、今の感覚だとデジタル一眼を購入するような感じだろうと思います。
 因みに国産品ではセミライラ等は50円前後だったそうです。
 私はハッキリ決めました。どちらが好み・・・?そりゃぁトリオプランに決まってます。

 下の作例は、すべてAgfa APX 100フィルムをミクロファインで処理。Canoscan D2400Uでネガフィルムを直接スキャニングした画像です。

 

テッサー付を使ってみました

Tessar 1

tessar 2

Tessar 3

Tessar 4

トリオプラン付を使ってみました

Trioplan 1



Trioplan 2

Trioplan 3

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