Olympus XA2

官が真に国家国民のことを考えていた頃

 1959年に誕生したオリンパス・ペンは消費者のニーズをしっかり捕まえたコンセプトが受け入れられて大ヒット商品になりその後、シリーズ化されて1981年のペンEFまで22年間に渡り17機種のペンが世に出ました。
 この大成功を仕掛けたのがお馴染みの米谷美久さん。この名設計者である米谷さんが次世代のカメラとして取り組んだのが1979年に世界で初めてレンズバリアーという概念を取り込んで発表されたご存じ「オリンパスXA」。
 これもまた最小の入れ物に最大の機能と最上の画質をとことん追求して設計された名カメラでありました。
 現在多くのメーカーから出されているデジタルを含むコンパクトカメラのバリアーデザインの源はこのXAのデザインに端を発しているわけで、以降のカメラデザインに多大な影響を与えたことは誰も否定できないでことですよね。
 このことは米谷さんがいかに先進性を持った類い希な優れた設計者でありデザイナーであったかを証明するものですね。
 今回取り上げたカメラは氏が設計されたXAシリーズでは2番目、1981年に発表された「XA2」です。XAとの差異は距離計が無くなり3点ゾーンフォーカス式に、35/2.8(5群6枚)から35/3.5(4群4枚)に、絞り優先のオートモードからフルプログラムモードに・・・これらのことからペンと同様にカメラの構造にあまり精通していない人々へ向けてのアプローチは確かだろうと思いますが、こと描写に関しては切れ味の鋭い細密なタッチの写真を得ることが出来ます。
 このカメラを使っていていつも感じるのがプログラムシャッターの出来映えで明暗差のきつい条件でも至って人の目に近い露出を算出してくれます。
 露出がカメラ任せのプログラム機では、ほんの少しでも露出が偏るとストレスの種になるものですが、このカメラは大変上手に露出を決めてくれます。

 さて、このカメラ、もう一つのエポックは写真機としては始めて「グッドデザイン大賞」いわゆるGマークを獲得したことにあります。
 うぅ〜む、なぜ本家本元のXAではなく、3年後に出てきたこのXA2が選定されたのでしょう、意匠はほとんど同じ様なのですが・・・不思議ですねぇ〜。それではこのグッドデザイン賞について、もう少し突っ込んでみましょう。
 グッドデザイン賞は1957年に当時の通産相が音頭をとって「デザインを通じて生活の資質向上と産業の高度化を図る」ことを目的にして制定した制度なんです。
 平たく言ってしまうと「日本がこの先、工業立国として成り立って行くには欧米の模倣は止めようよ」と言うことなのです。
 敗戦のダメージから立ち直りつつあるとはいえ、やはり舶来礼賛のムードは依然として強く、カメラに限らずあらゆる工業製品が欧米の真似ッコをしていたんですね。これでは日本がいつまで経っても世界と肩を並べることが出来ないと当時の官(通産省)は危機感を持っていたんです。これはしっかりしたビジョンを持った正しい見識で当時の官が真に国家国民のことを考え真面目に業務を遂行していたことが分かります。

 この賞の初期の頃の受賞作には東芝電気の電気釜やテーブル・イスなどの家具、日用品など生活に密着した物が主体だったのですが、Gマークの概念が国民全体に浸透してくるとありとあらゆる工業製品が選定対象になってきました。
 また、Gマークを獲得することでそれがステータスとなり売り上げ拡大に繋がることから、各メーカーも受賞を意識した物づくりをするようになり官の思惑は見事に的中したわけです。
 主な受賞作には、皆さんよくご存じの「ホンダシビック」や[IBMのシンクパッド」、最近では「ソニーのアイボ君」なども受賞しているんですよ。
 また、1983年にはキヤノンのT50がカメラとしてはXA2に次いで2番目に受賞していますが、これ以降今日まで残念ながらカメラでの受賞はありません。
 そうした中で、このXA2ですが選定基準の中に「独創的なデザインで質の高い製品を誰もが気軽に使える」ということがあります。この「気軽に使える」と言うところがミソですね。
 本家のXAは距離計はあるわ、絞り設定があるわでちょいとややこしい。そこでピクトマークに合わせてシャッター押すだけのXA2が選ばれたのではないかと推察するわけです。

 ということで使ってみたのですが、このカメラは実に使い易い!
 フラッシュユニットを外してしまうと心許ないくらいに小さくなってしまうのですが、偏向的なデザインの割にはしっかり保持できますし、フェザータッチのシャッターも功を奏してブレの誘発を最小限にしてくれます。
 何より特筆すべき特徴というか工夫がこのレンズバリアーにあって、Cdsのスイッチを兼ねたバリアーを開くと必ずフォーカスが中間距離(1.2m〜∞)にリセットされるんです。
 この工夫はスナップ時に威力を発揮しますよ、スナップでは大抵の被写体はこのレンジで収まりますから、いざという時にシャッターチャンスを逃すことがありません。
 今までに多くの刊行物やweb上でこのカメラに関する評を目にしますが、大方の見方がXA・XA4=一級品、XA2=B級品のような扱われ方をしていますが、私の使い方では間違いなく超一級品のカメラのであります。

ビュッカーさんの報告

 

Olympus XA2の作例です

以下の写真、モノクロはPrestoをD-76で標準現像処理。
カラーはDNP Centuria400を使用
Nikon Coolscan IVでネガフィルムを直接スキャニングした画像です。

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2008.8.26

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