KONICA Auto S1.6

絶滅への路

 いやぁ〜でっかいですねぇ〜このカメラは・・・。
「コニカAuto S1.6」幅が14cm、重さも800g近くあります。1967年製でヘキサノン45mm/f1.6(5群7枚)という一眼レフの標準レンズをも凌ぐような怪物レンズがズド〜ンと取り付いています。
 まさに重戦車、どんな敵(被写体)でも潰せそうです。タイトル写真をよ〜くご覧ください、大柄なボディからド〜ンと突き出た大口径レンズを納めた鏡胴、どうです迫力あるでしょう。
 こんな大きなカメラは欧米人にはともかく、幾ら何でも日本人向きではないですね、このサイズは。
 私もまる1日、このカメラを首から提げてつき合った日は、首の筋と肩がコッチンコッチンです。
 この時代、幾ら大口径戦争が勃発していたとはいえ、もう少し軽さにも腐心して戴きたかったですね。何しろ現在のようにエンジニアリングプラスティック天国の時代ではないので、隅から隅までキッチリ真面 目に金属を一生懸命に加工して作ってあるんです。これだけ重いと間違って足元に落とそうものなら甲の骨など骨折しかねませんよ。
 カメラなんて便利に使えてなんぼのもの、一点豪華主義や見栄張りの道具ならいざ知らず、実用として考えたらいかがなものなのでしょうかね。
 結局、ヤシカリンクス14、マミヤスーパーデラックス、リコースーパーショットとどれも超重量 級レンジファインダーカメラは歴史の徒花となりましたねぇ。
 一眼レフではレンズの明るさがそのままファインダーの明るさに反映されるので大きなメリットであるわけですが、距離計カメラの世界で何でこんな大きなレンズを必要としたのでしょうか、光量 の厳しい室内や夜間に有利だからと言う点には理解が出来ますが、そうそう撮影のチャンスが多いわけではないでしょう。
 コレも時代の流れだったのでしょうか、この頃、山本直純さんが「♪大きいことはいいことだぁ〜♪」なんてテレビでよくやっていましたね、チョコレートのCMでしたっけ・・・。
 大きいことは豊かさの象徴でもあったのかなぁ〜、昭和30年代に始まったモータリゼーションも「スバル360」からスタートし「トヨタ・パブリカ」、「ニッサン・ブルーバード」とだんだん大きくなって、この時代(1967年)は「♪白〜いクラウン」にまで発展しましたからね。
 一億総中流化、当時のアッパーミドル達は競って白いクラウンに食いつきました。このカメラも中古市場では結構多く見かけるので、同じくアッパーミドル達が標的とされ大いに売れたのでしょうか。
 しかし、このバカでかさには小西六でも反省があったのかどうかは知りませんが翌1968年、一気に小型軽量 化した名機「C35ジャーニーコニカ」を出すことになるんです。
 これは今までの超重量 級への反動か市場は大歓迎し、爆発的にヒットしましたね。
 反動だとすれば、コニカではなくてもヤシカ、マミヤ、リコーなど、どのメーカーが同じ狙いのカメラを作っても成功したはずです。もっとも各社後追いでC35のライバルを急遽作りますが、商売は最初にやったもん勝ち、井上順ちゃんの「じゃに〜」のテレビCFもブームに火を付け、売り上げは鰻登り。C35を販売数で凌ぐものはなかなか難しかったようです。
 全体の作りやファインダーの見えなど、この「コニカAuto S1.6」には遠く及ばないカメラですが、写 りは皆さんご承知のように素晴らしいものでしたね。
 軽くて小さく何処へでも気軽に持ち運べてシャープで良い写 真が撮れる、おまけに値段も3割以上安いとなれば、もうこの「Auto S1.6」が生き延びる道は残されていません。
 カメラの進化が小型軽量に向かうと、これらの重戦車的カメラはティラノザウルスのごとく絶滅していくしかなかったのです。

 コニカのSシリーズの集大成とも言えるこの「Auto S1.6」。
 大柄なボディ・重量 と引き替えに可能な限りの機能が盛り込まれています。明るいレンズをサポートするシャッターにはコパルSVA、これはシャッター速度優先のEE撮影ができます。
 ISO400のフィルムを詰めて、1/60秒を選択してEEにセットすると(絞りはほぼ開放になります)夜間でも町中なら締まりのある綺麗な写 真になります。勿論マニュアルで使うこともできますので、ファインダー上部のメーター指針を参考にしながらオーバー目・アンダー目も自在です。
 またSシリーズ伝統のパララックス補正ファインダーは、更に磨きがかけられて二重像の分離もキッチリして見易いことこの上もありません。
 フィルム装填もこの機種にはイージーローディングのコニリールが装備されるようになりました。これはキヤノンのQL(クイックローディング)のように複雑な構成はまったく無く、リールに挟み込んだフィルムをくわえ込むだけの簡単な仕掛けですが、理に適った方法でグッドアイデアものです。
 熱烈なるヘキサノンファンの方からお叱りを受けぬよう頑張らなくてはと、試みた撮影ですが私の力量 では上手く持ち味を引き出せません。首筋の筋肉を鍛え、再度挑戦しなくてはならなくなりました。
 今回は暫定と言うことで・・・・ヘキサノンファンの皆様、お許しください。


 と、コレは2年ほど前に制作した稿なのですが、その後、この重さと大きさに耐えられず、結局、お友達に差し上げてしまい、わたしの所から去って行ってしまったのですが、ダメですネェ、こういう中途半端なことをしては・・・。
 いざ、居なくなってしまうと、どうしようもなく寂しくてしょうがない。普段から乾き気味のココロにぴゅ〜ぴゅ〜と滲み入る冷たい風が・・・・あぁ〜、もっと活かして上げるべきでなかったか、自分の非力を棚に上げ一方的に責めてやしなかったか、折角、縁あってワタシの所に辿り着いたのに、あまりに冷たい仕打ちをしてしまったのではないか・・・・・。
 こうして自問するとすべてに思い当たります。
 なんて申し訳ないことをしてしまったのだろう、こんな人間にカメラを触る資格なんて無い!
 「S1.6様、非はすべて私にあります、猛省しております。今度は重たいの、大きいの、肩が凝るのと贅沢なご託は一切申しませんので、もう一度、私にチャンスをいただけないでしょうか?」
 
 ということで、再再度(先回のS1.6は、ダメダメジャンク同士のドッキングでニコイチにしたため、今度で3台目)S1.6を手に入れてきました。2年ぶりに手にしたこのカメラ、猛省の後ですので実に頼もしく見えます。(ゴメンね、勝手なことばかり言って)
 「今度は大切にするからね、どこか調子の悪いところがあったらいつでも遠慮無く言ってね。」と、ひとり呟いてキャビネットのど真ん中に鎮座させた、わたくしでありました。

 みなさんも、きっとこんな経験があるのではないでしょうか。

ビュッカーさんの報告

2005.4.28

 

再度、使ってみたKONICA Auto S1.6の作例です


以下の写真は、をパーセプトールで標準現像処理。
Nikon Coolscan IVでネガフィルムを直接スキャニングした画像です。

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絞りの変化で、硬軟自在の絵が出来ることは当然なのですが、
そのどちらもが、素晴らしい解像をしてくれます。
やはり、再度、手に入れて良かったとつくずく思っています。

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