MIHAMA Rhyme Six

輸出品取締法の産物?

 東京は荒川区の尾久にあった三浜精工の「MIHAMA Rhyme Six」です。
 三浜精工というからには本拠地は静岡辺りなのではと思うのですが会社は東京・尾久にあったんですね。
 最近になってこのカメラの開発者である杉江吉三さんのお孫さんからご連絡を頂き、三浜精工の沿革が大分分かりました。
 この「ライムシックス」は昭和20年代後半のカメラだと思いますが、単独距離計が付いています。ミハマシックスにはいろいろとバリエーションがあるのですが、これは最終型になったS型(連動距離計付き)の一つ前の型ではないでしょうか。
 初期の頃の2型などと比べると工作精度や塗装など飛躍的に向上した作りが成されています。何でかなぁと思ったのですが、えーと昭和何年のことだか忘れましたが、戦後日本は一生懸命カメラを作ってはアメリカに輸出していたんですね。
 一方で同じ敗戦国のドイツもアメリカに向けカメラを輸出していたんです。あちらは何といっても歴史はあるし、実績もあるし、じたばたしなくても売れて当然な訳です。しかし日本の方はそうはいきません、歴史はないは、実績もないは、アイデアに至ってはもっと無いわでドイツ製品の猿真似ばかりしていたわけですから同じ土俵ではまったく勝負になりません。
 こうなっては当然価格で勝負と言うことになるわけです。ドイツの人にしてみりゃジャパニーズカメラは藪蚊のごとく邪魔な存在ですよね。
 しかしこれが躓きの元となるわけで、当時の技術力では価格を下げつつ品質を上げるという相反した芸当など出来はずもなく、当然のこと粗製濫造品のオンパレードです。
 アメリカからの反応もすぐに出て「Made in JapanのCameraは安かろう悪かろう」の声が定着しかけます。
 これでは将来の日本は立ち行かぬと当時の政府が「輸出品取締法」を立ち上げ、輸出品の検査を実施します。この検査基準は相当厳しかったらしく、この基準に製造技術が追いつかず終焉を迎えたメーカーも数多くあったらしいですね。
 この法律のお陰で、そこそこ力のあるメーカーは品質が改善され、それに伴って日本製品の評判は向上していったわけです。
 振り返って見ると当時の社会は官も民も知恵を絞り、体を動かし一生懸命に日本を立て直そうとしていたんですね。やがて整理や淘汰を経て気が付けば80年代には、質量共に世界一のカメラ生産国になってしまったのですから・・・。
 私が20代の時に仕事での関係で知り合うことが出来た英国人に「君たちは世界一のものに囲まれて生活できることが羨ましいよ」と皮肉とも本気とも撮れるような表情で言われたことを思い出します。
 彼の言によると、その世界一のものとはカメラ・腕時計・オートバイだそうです。確かに当時はキヤノンFTを持ち、シチズンの時計を填め、ヤマハのバイクに乗っていたのですが、外国人から見るとどれもが世界一のレベルだったのでしょうかね。
 こちらとしては全く意外なことで、お金もなく、狭いアパートでヒィーヒィーしていた私(このことは未だに脱却できていません)にはまったく的外れな話だと思っていたのですが・・・。

 さて、上記の検査基準のせいかどうか判りませんが、私の所にある初期型のミハマシックスは機構部が摩滅したり小さなスプリングがサビ折れたりして機能させることが出来ませんが、この「Rhyme Six」の方はシャッター音も軽快で実にしっかり生きております。
 蛇腹の方も折り曲げ部に1カ所小さなピンホールがあるのみで至って簡単な修復で済んおります。

 このカメラの製造者である杉江吉三氏のご子息が「ミハマ技研」と言う会社を経営しておられます。こちらのホームページに吉三氏がミハマシックスを作り上げた経緯が掲載されておりますので、是非ご覧ください。
http://www.mihamagiken.co.jp/special/mihamasix.html


トップカバー左側にある距離計ダイヤル、
フィート表示もさることながら数字が小さすぎますよ。(泣)

 使ってみての感じですが、大きさと重さのバランスが絶妙で大変リズムのよい撮影が出来ます。
 シャッターのチャージストロークやレリーズボタンの位置も極々自然で初めて手にした人でも違和感を感じないと思います。
 このカメラには先にも述べたように単独距離計が載っています。背面左側にボディからわずかに出たダイヤルを廻して操作します。二重像合致式で見えもよくスムースで使い易いのですが、そのフォーカスダイヤルに刻印されているフィート表示の数字が小さいこと小さいこと・・・。視力に自信がある人ならいざしらず、50を過ぎた私には厳しすぎる小ささですね。
 描写に関しては、f.8位からどんどんシャープになってきてコントラストもしかっりしていると思います。
 立体感や距離感も私のレベルでは充分です。ただこれは私の調整不足に起因していることなのですが、レンズ本体をボードにセットするとき少し下にずれてしまったか平行がずれているのか、正像画面 で下の両端の解像が極端に悪くなっています。セミ版のマスクを被せてしまえば全く問題はないのですが・・・。

2003.5.3


MIHAMA RYOM SIXを使ってみました


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