Hi-Matic E

名画が撮れても、名機にあらず・・・

 セミクラッシクカメラの定番、またMinolta HI-Maticシリーズとしては、7sと並んで人気を二分しているのがこの「Hi-Matic E」ですね。
 その人気の理由は何といっても被写体を選ばない安定した写りにあることは間違いのない事実で、それは完成度の高いプログラムEEによって達成されたものですが、ミノルタはそのプログラム設計によほどの自信を持っていたようで、露出に関しては、フルオートと割り切ってしまいました。
「あんたら素人は、ゴチャゴチャいわんと操作はうちに任しときぃ、あんじょうやっとくさかい!」(この関西弁どこか変でしたらご指摘ください、わたくし生粋の関東人なものですから)と大阪の本社で設計主任が言ったかどうか定かではありませんが・・・。
 搭載されているROKKOR-QFレンズは非常に切れの良いレンズなので、写真を良く知る人たちは露出に関してもマニュアル設定で遊んでみたいところだが、それが許されないんです。

 それがこのカメラの唯一、歯がゆいところで、何とも勿体ないのですがその見返りに撮れた写真はほとんど文句の付けようがないほど美しいのであります。
 普段あまり写真を撮らない人でも、このカメラを使うと自分はもしかすると写真にセンスがあるかも、という錯覚をもたらしてくれること請け合いです。
 トップカバー上面に「ELECTRO CONTROL」の文字がありますが、完全電子制御のこのカメラは、当時の最先端技術の集積だったんでしょうね。
 明るく切れのよいレンズ、小さく精悍にまとまったデザインの良い躯体、見やすく、スッキリした出来の良いファインダー、そしてドンピシャに露出の合った綺麗な写真上がりと揃えば売れないわけがない。
 おかげで、今となっては安値で中古店にゴロゴロしてますね。我々古カメファンにとっては、より取り見取です。
 カメラの操作を楽しむ御仁には全く適しませんが、お散歩用にパチパチスナップするには最適ですね。何といってもSLRそこのけの描写をしますから。
 とまあ、良いことずくめのカメラなのですが、一つだけ欠点というか醜点があります。それはこのカメラを使った皆さんが指摘するシャッターフィーリングです。このカメラに限らずセイコーESFシャッターを搭載しているカメラはみんな同様の感触があるようですが、このグニューっとした感触はいけません。最低です。何処まで押し込んだらレリーズするのかが非常に曖昧で、また機構上相当押し込まないとレリーズしません。
 いわゆるメリハリというものが全く感じられない実に使いにくいシャッターです。戻りバネが結構硬いので一気に強く押し込むとブレを誘発しますので、いきおい慎重になります。折角のシャッターチャンスでもジュワーと押し込んでいくこのシャッターのせいでチャンスを逸すことが結構ありました。
 撮影のリズムなんて言うものは、全くとれません。ズッコケの連続です。これは、ドキュメンタリーを目的にした写真機にとって致命的な欠陥といっても良いかもしれません。
 名画(良い写真)が撮れるのに、名機になれず、惜しいなぁ・・・。

発売年度・価格 1971年 29,200円(ブラックの場合)
レンズ ROKKOR QF 40mm f1.7
シャッター

電子制御式 SEIKO-ESF 2秒〜1/1000秒

ファインダー ブライトフレーム採光式、パララックス自動補正
露出制御

CdsによるプログラムEE、上下20度、左右30度を測光する

電源 HM-N型水銀電池を2個使用
大きさ・重さ 幅124・高さ77・奥行き60mm 560g (ボディのみ)
主な特徴 専用ストロボを使用するとオートフラッシュ撮影が出来る


鏡胴には、フィルム感度設定、ストロボGN設定(下側)と
距離調整リングのみ。 至ってシンプル。


背面にあるスイッチは、ストロボの設定切り替え用。
専用のストロボを使用して、 「AUTO」にセットしておくと、
一定の明るさ以下になると自動発光してくれる。

 

たかさきさんの報告

ビュッカーさんの報告

 

Himatic Eを使ってみました。
今回は距離をテーマに撮ってみました。KONICA センチュリア100で撮影
試写の作例なので、スキャン時に色補正やアンシャープマスク等の操作は加えていません。


ほぼ、最短距離からのカット。QFレンズはどこまでも柔らかい。


これは、中間距離で完全な逆光。中央上にフレアーが発生、わたしは、他のカメラの作例でも書いていますが、
多少のフレアーは 逆光であることが自然に見えるので好きなんです。
それにしても何と正確な露出なんでしょう。穴の中の女の子の様子がよく判ります。
ファインダー画面が1/4くらい犠牲になりますが、レンズフードは装着しています。


無限遠でも、まったく破綻していません。見事なレンズだと思います。
ただ、発色はあっさり目でしょうか、FUJICAやRICOHに慣れた目にはそんな感じがします。


一応自然光ですが、遊覧船の船内です。斜逆光ですが、露出は思った通りで撮れました。
何と完成されたプログラムEEでしょう、ここまで写れば、脱帽です。
  

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