Fed 5

ともしびに火を灯しに行っていたいた頃

 先日、ちょっとした祝いの宴席に招かれまして久方ぶりに我を忘れて楽しんじゃいました。
 出席者の大半の方とは初対面なのですが、お酒も程々に廻って気もほぐれた頃になるとお決まりのカラオケが始まりますね。まぁ、皆さん次から次ぎへと出てくるは出てくるは・・・・。
 中には相当授業料を使っているなと想像がつくほどお上手な方もいて、この時とばかりすっかり歌手気取りになっちゃうおバカもいたりして・・・。人は謳うことが好きなんだなぁ〜と改めて感心した次第の一日でありました。
 わたくし個人は人に自慢できるような音感を持ち合わせていませんので、座を白けさせない程度の参加に留めることにしていますが、それでも若い頃は自発的によく謳いに行きましたネェ〜。
「行きましたネェ〜だと、お前の若かった頃にはカラオケなんてあるわけないだろ!嘘言うんじゃねっ!」
 はぁ〜、なるほどおっしゃる通り、カラオケなどと言う個人技を発揮できる遊興施設はありませんでした。
 しか〜し、人は美声だろうが音痴だろうが謳うことは昔から好きだったんです。この欲求は誰にも止められない、我ら青春時代にもこの欲求をちゃんと受け止めてくれた場所があったんですヨ。新宿歌舞伎町・歌声喫茶「ともしび」、うぅ〜〜〜ん、懐かし〜いぃ。

 その当時は何と言っても喫茶店の第1期黄金時代(以降、未だに第2期黄金時代はやってきていません。現在流行のドトールやスタバは喫茶店とはチト違うような気がしてるんですが)、日本中の村から都市まで喫茶店が乱立していたんです。
 こうなると当然、隣の店と同じことをしていたんじゃぁ、客足が伸びませんから個性を出そうと言うことになる、まして繁華街ともなれば競争は熾烈を極めます。
 純喫茶(ヤクザ関係のお仕事の方が結構いました)
 和風喫茶(着物を着たオネーサンが楚々としてお茶を持ってきてくれました、コーヒー1杯の値段も少し高め、だけどオネーサンきれいだから許せた)
 クラシック喫茶(割と下向き加減の人が多かったのであまり出入りしていませんでした)
 ジャズ喫茶(これはいまでも細々と生き延びている、セロニアス・モンクやハービー・マンに出合ったのもココ)
 同伴喫茶(店内、足元がおぼつかないくらい暗いです、イスの背もたれが異常に高いです、どうゆう訳だかお客の息づかいがみな一様に荒いです、ムーディなBGMの音量は極めて大きいです、以上)
 この同伴喫茶に至っては小生あまりに利用率が高かったためにマネージャーと仲良くなってしまい、気が付いたらそこで働いていました。渋谷・円山町近くの「紫苑」っていったけなぁ〜・・・、親には軽食喫茶で働いていると嘘つていましたが。

 さて、話を戻してその歌声喫茶「ともしび」ですが、40代以下の方は歌声喫茶???でしょうネェ〜。
 信じられないかも知れませんが1パイのコーヒーを飲みながら見ず知らずの皆さんと一緒に大真面目で大合唱をするのです、それも大声で。
 えっ、喫茶店でマジメに合唱するの?どうやって?それって、かなり変じゃない?
 うぅ〜ん、そう言われてみりゃ変かもしれない、しかし当時は真剣に謳っちゃったんだからしょうがない。今になって思い出してみるとかなり恥ずかしいィ・・・近くに穴があったら入りたい(もう、手遅れだな)。
 して、どんな案配かというと、入口を入ると比較的広い店内に10脚くらいの大きな細長いテーブルがあってそこに見ず知らずの人達と互いに相席で座る、客は大抵が男同士・女同士で行くんです。
 もうデキている或いはデキつつあるというようなアベック関係の客はほとんど来ない、そうゆう奴らは歌舞伎町の端っこに立ち並んでいるホテルに直行しちゃう。勝手にやってろ、コンニャロメ!
 そしてなんとなく、男・女・男・女というように並んで座る不文律の様なものが有ったような無かったような・・・いや確かにあったな、そうゆうことにしておこう。
 前方には学校の教室の教壇みたいに一段高くなった小場所があって、そこに司会者というか指揮者というか歌唱先導をするルパシカを着たおじさんがアコーデオン奏者と共に居て、お客をリードするわけです。
 アコーデオンと言えば、最近めっきり見かけなくなりましたねぇ、当時は唄の伴奏と言えばまずアコーデオンというしかっりした関係が築かれておりましたネ。メーデーで労働歌を謳うときも、NHKのど自慢大会の時も、病院白衣を着た傷痍軍人さんもみなアコーデオンの伴奏で歌っていたものです。
 そしてそこで合唱する歌というのは、どうゆう訳だかロシア民謡とか労働関係の唄が多かった。トロイカ・カチューシャは言うに及ばず、ボルガの舟歌・ステンカラージン・国際学連の歌・赤旗の歌、軽いところでは、おお牧場は緑・アルプス一万尺・・・あぁ〜、しみじみ懐かしいナァ〜。
 しかし、流行歌はあまりというか全く題材に上がらなかったのは何でだったんだろう。
 「恋の季節」とか「ブルーライトヨコハマ」なんて大ヒットしていたんですけどね。
 その頃は70年安保の真っ只中、若者は結構真剣に社会や政治と向き合っていたんです。したがって「♪わっすれられないの〜〜♪」を大合唱する雰囲気じゃ無かったんですね。
 しかし、狙いとしては初対面の女性と席隣合わせて、曲目によっては腕など組み合いながらお歌が唄えるんですからこんな楽しい夢のような場所はそうはなかったのでります。
 万一、意気投合などと云うことにでもなれば、コンニャロメ組になれるかもしれないし・・・。
 現代の若者は合コンなどと称して、生意気にも酒の力を借りていかがわしい怪しからんことを企みよりますが、こちらは1パイのコーヒーと歌の力のみ、何と健全なこと!何と安上がりなこと!ドーダ、参ったか!

 そんな歌声喫茶で唄ったロシア民謡などを思い出しながら口ずさみつつ、今回はロシアカメラ(正確にはソビエト製カメラ)「フェト5」を持ち出してみました。
 このカメラの特徴・構造については今更わたくしがつべこべやったところで何の足しにもなりませんので、諸先輩の優れたレポートをあてになさって下さいまし。ただ私から一言申し添えるとしたらLマウントを使用したカメラの中で最高の使い勝手を有しているということです。
 ホールディング・重量バランス・各リングの操作性・巻き上げ操作・視度補正付きファインダー・ホットシュー・露出(私の個体は今のところ2段ぐらいのズレで、ほぼいい感じの位置に針が振れています。ソビエトものとしては上等の部類です)等々、RFカメラとして完成の域に達しているのではないでしょうか。
 シャッターボタンの位置と高さについては「なんでやネン」で不可解極まりありませんが、かれこれ30年前のカメラですから不問として許しちゃいます。
 欲を言えば切りがありませんが、レンズも付いて1万円前後でこれだけの使い勝手と鋭い解像の写真を手にすることが出来るのですから、「ふぁんたすちっく」と言わずして他に何があるでしょうか。
 ジェルジンスキーさん、ハラショー・ハラショー・・・・。


 JFC会員でFEDにとても精通している「ナンマイダー」様より蘊蓄を頂きました。ありがとうございました。以下がその文章です。

 美しい写真を拝見でき、嬉しく存じます。
 特にこのレンズのモノクロの描画が好きで、初冬の朝はだいすきです。わたくしの所持いたしている撮影用のFEDじゃなくってФЭДは親の敵の如くにボディー内面に、光学用つや消しブラックを塗布いたしましたところ、なかなかヌケのよい描画になりました。
 さて、このカメラ、大変好きであります。何故だか知りませんが好きであります。その理由の一つにИНДУСТАР 61Л/Д(黒鏡胴)の描画が寄与している事は確かです。
 またこのカメラ、ヴァリエーションの多い事も魅力であります。基本的にはФЭД-2からの建て増しであり、スローシャッター導入のため基線長を短くした事に於いてはФЭд-3からの建て増しであります。
 なぜФЭД-4に於いて単独露出計なれど、追針式を達成しながら、ФЭД-5に於いて、針が示した数字をそのまま読み移す方式に変えたのか、ここら辺は一歩後退であります。製造を楽にしたかったのか、はたまたФЭД-4で追針式を達成するため、スペースの問題からボディー側面のダイヤルを指の腹でこすって巻き戻す方式をきらったのか・・・ 露出計を搭載してないФЭД-5Вではなんとクランク巻戻しを採用!ФЭД-5Сに於いては、アルバダフレームを採用!!なれどスペースの問題から視度補正が外される、など それぞれに一長一短があり、大変可愛いいシリーズです。
 また、初期のものはまだカメラらしいしっかりした感じがありますが、貼り革がかわり、ネームプレートが黒になり、脱着式スプール式の巻き取り軸は一体型の円筒形に縦に切り柿を入れただけの大胆な合理的、というか一気に手抜き化、見た目もどんどん陳腐化、初期の一応ちゃんと動く感じは消え、フィルムが巻き戻せるかどうかハラハラスリリングになってくるといった変遷をたどるこのカメラが大好きです。
 また、マスクヴァーオリムピックロゴ入りがФЭД-3(type-b)ФЭД-4(type-b)またФЭД-5が存在するため平行して生産されるなど???なところが多くミステリアスであります。
 完全にかぶる機種もありますのでよけいに???ですね!!
 すみません。久しぶりにФЭД-2〜5への愛を再確認してしまい長々と書いてしまいました。
 私は世界中のФЭДがユーザーにハラハラドキドキ感を与えつづけながら可愛がられ、実用されつづける事を願ってやみません。


インドゥスタール61(55/2.8)での作例です

以下の写真は、カラーはKONICA Centuria 400を純正現像。
モノクロはFUJI PRESTOをエヌエヌシー社のND-76で標準現像処理。
ニコンCoolscan IVでネガフィルムを直接スキャニングした画像です。
 

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