Nikon EF100

単玉ニコンかっ!

「うぅ〜ん、何だこりゃ、見たことのないカメラだなぁ〜・・・」
 週末の仕事帰りに、立ち寄ったリサイクルショップは近頃ブームなのか、結構お客さんで賑わっています。
 二階に上がると、ここはジャンク品コーナー。あまり価値のありそうもないカメラ達がプラスチックケースにギッシリ放り込まれています。
 私はいつもこのケース専門、たまにお宝と巡り会うことも出来ます。そんな中にキラッと光る金属カメラが奥に詰まっています。
「おっ、お目当てかも」と思ってほじくり出すと、これはもう既に持っているコニカのカメラでした。
 ちょっとガッカリしてそれをケースに戻したのですが、そのほじくったカメラの中に、安っぽいペナペナのあまり見かけないプラカメがあり、名を見ると「Nikon EF100」とシルクプリントされています。

「ニコン???、こんなチープなものをニコンが造るカァ〜?」
 そういう疑念が湧くほど、完璧なまでにペナペナのプラスチック製。金属といえるものは小ビスくらいしか見当たりません。
「ひょっとして、これは・・・」
 私の頭の中では、以前にご紹介した「FUJI FZ-6」のイメージが思い起こされました。あの単玉が創り出す絵は強烈でしたからネェ〜。
 このEF100も、全身から溢れ出る安っぽさ、固定焦点、固定露出、というアートしてくれそうなスペック!
 これはもしかしたら、ニコン史上初の単玉カメラかも知れないと、胸をときめかせながらレジで315円を出したのでありました。

 しかし、ニコンというと、これまで、どうも仲良く出来たためしがない。
 いや、私は仲良くやりたいと思っているのですが、向こうがネェ、どうゆう訳だか私を相手にしてくれない。
 完璧主義、官製、一切の妥協ナシ、完全無欠、耐久重視、一穴主義などなど・・・。
 これらの熟語は、普通、いい意味で使う言葉なのですが、完全有欠の私には逆に作用しちゃうんですね。
 なんかこう、上から見下ろされているというか、偉そうというか、カメラのクセして実に慇懃無礼な感じがあるわけです。

 銀座に「ニコンハウス」という中古カメラのお店があるでしょ。ここはもう、雰囲気がスゴイですね、堂々と「ニコン以外はカメラじゃない空気」で100パーセント充満しているんです。
 来ているお客も、「ニコン以外はカメラじゃない人間」ばかりですから、ドアを開けて一歩入った瞬間から、そのような方たちには、まさにバラの香漂う麗しの花園。
 しかし、私のような「何がニコンだ、ふざけンじゃネェ人間」は、この空気はとても吸えたものではなく、めまいクラクラ、窒息寸前、一分たりとも保たないのであります。
 もともと、アマチュア写真なんて、自己開放の一手段ですから、使う道具が常に上にあったり、先にあっては一つも面白くないわけで、私がニコンを避けているのはここに最大の理由があるのです。
 もっとも、上に挙げた数々の主義は失敗が許されない職業人にとっては、最上の大儀ですから、それらの皆さんにとっては必要不可欠な道具ということになって当たり前なのですね。

 して、この「EF100」、どんな仕様なのかといろいろ調べてみたのですが、今のところまったく分からない。
カメラを眺め回して分かったことといえば、
  35mm/f4.5と明記されたニコンレンズ
  最短撮影距離は分かりませんが、固定焦点
  これまた、一向に分かりませんが、固定シャッター速度
(あくまで感覚ですが1/100秒くらいです)
  それにお決まりの固定絞り(通常はf11くらいかな?前面に付いているスライドスイッチをフラッシュマークにすると開放になります、さらにお花マークにするとF16位まで絞り込まれます)
 まぁ、使ってみれば多少は素性も見えてくるでしょう、ということで試し撮りです。

 うぅ〜ん、うぅ〜ん、何でこんなに良く写っちゃうんでしょ、別に高等な露出制御装置なんて持っていないんですが。
 一応DXには反応しているようですが、これってシャッター速度が変化するのでしょうか?絞りには変化が出るようには見えないんですよね。
 この固定焦点にしたって、1メートルくらいから15メートルくらいは、完全にカバーしています。
 ちょっと広角気味なので、隅っこに多少樽型の歪みが出ますが、デジカメのそれより遙かにましです。
 そしてカラーを使うと、極上の色ヌケ!
 前にご紹介した「TWzoom」と同傾向の発色ですが、こちらは更に数倍も透明度が増しています。
 写真というのは、光を定着させる作業ですから、出来る限り少ないレンズ面でストレートに光を感光材に届ける方がいいのかもしれません。
 それにしても、この異常とも思えるほどの透明感は貴重ですネェ、私が今までに経験した中ではおそらく一番です。
 ある意味で、現実の空気感以上の透明度ですよ、これは。
 こういう嘘の着き方って、写真ならではの世界ですね、これは面白い!大いに気に入りました。
 昔のカメラは、個性豊かなクセをそれぞれが持っていて、使う側もそれを楽しむことが出来たのですが、近代になって、機械で設計されたレンズは、どれもほとんど差異が消えてしまい均一になってしまいました。
 そうした中から、個性的なクセ有りカメラを捜すのは難しいことなのですが、唯一のヒントがこうした簡易カメラなのかも知れませんね。
 私が期待していたのは、何かしら独特の世界を持っているヤツですから、これは即、合格です。
 しかし、なんで、どうして、こんなにビシッとしちゃうんでしょうね、小難しい装置なんて何一つとして付いていないんですよ。

 後日、気になってコッソリ開けてみました。そうしたら、な、な、なんと、レンズブロックには3枚もの玉が・・・。
 ニコン様、あなた達はどうしてこんなカメラにまで、キッチリとお仕事をしちゃうのでしょう・・・、たまには妥協とか手抜きとかはなさらないのでしょうか?
 でも、この度のこの3枚玉は大いに気に入りました。今後も、ちょこっとで構いませんので、クセを感じられる写真機をお作りくださるよう期待しております。
 ほんの少しですが、あなた様が近づいて下さったような気がしております。

2004.5.13


EF100での作例です

以下の写真は、カラーはKONICA Centuria 400を純正現像。
モノクロはKONIPAN 400をエヌエヌシー社のND-76で標準現像処理。
キヤノン Nikon Coolscan IVでネガフィルムを直接スキャニングした画像です。

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