Konica EE Matic DX

性に目覚めた頃

 1963年(昭和38年)、中学生になった私はやっと親の庇護から離れて、お小遣いを貯めては映画館に通っていました。
 自分の意志で見たいものを決め自分の意志で劇場まで行くことが何となく大人っぽく感じていたようで、ちょっと背伸びをしたい年頃だったんですね。
 当時見た映画の中で今でもハッキリと覚えているものが2本あります。
 1本はスティーブ・マックィーンの「大脱走」。
 日曜、朝の1回目から入場しクライマックスがもう一度見たくて結局3回目までずーと見続けてしました。
 劇場を出たとき、表はもう暗くなりかけていました。この映画は面白かったですね、今でもストーリーを詳細に思い出せます。根が単純な私はこの映画で相当数多くのものを学んでしまいました。
 どんなことでも吸収できてしまうのが10代の頭脳です、一番衝撃を受けたのがクライマックスにマックィーンがモーターバイクで挑走するシーン!一面に草が生い茂ったスリッピーな起伏のある草原をフルスピードで走る抜ける彼のテクニックは素晴らしいの一言、いやぁー見事な操縦でした。
 以来すかっり感化されてしまった私は齢50をとうに過ぎているにもかかわらず、未だにモーターバイクとの生活に縁を切ることが出来ない始末。反射神経や運動能力が凋落の一途を突き進んでいる今日この頃、あと何年跨げるやらではありますが・・・。
 もう1本、強烈な印象を脳に刻んだ映画が左幸子さん主演の「にっぽん昆虫記」。
 タイトルだけを見るとドキュメンタリー教育映画のようでしょう。私も文部省指定の教育映画を見るつもりで入場しました。(すいません、嘘つきました)
 実はこの映画が成人映画鑑賞初体験だったのです。
 一応文芸作品だったらしいのですが、中学生のこちらにしてみればそんなことはどうでも良く、性に目覚めた年頃ですからセックスシーンに大ショック!その後1週間くらいはクラクラしていましたね。
 因みにこちらの方はどのようなストーリーだったんだか相手の男優が誰だったのかさっぱり覚えていません。
 筋立ての中で何回か営まれたあの行為のみです、覚えているのは・・・。
 今ではもう亡くなられてしまいましたが、数年前までテレビなどでオバーチャンになられた左幸子さんを見かけるとドキッとしたのはあの映画の印象が強烈だったんですね。

 さて、そうした強烈なインプレッションに即座に反応して感化されてしまう単純な性格の私ですが、さきの映画が封切られたのと同じ年、1963年に誕生したこの「KONICA EE Matic」も自分で見つけ出したものではなく感化されて手にしたカメラです。
 それはJFC(Japan Family Camera)会友の「ナンマイダー」さんがこのカメラで撮った素晴らしい写真を見たのがきっかけでした。
 「ナンマイダー」さんが撮ったカラーの作品は何ともいえない実にいい光に包まれた写真で、色の出し方、コントラストとも独特でヌケの良さに至ってはまさにスコーンという感じで目を見張るものがありました。もちろんこれらの作品は彼の感性に100パーセント支配されて切り取られたものであるのですが、シャープで切れの鋭い描写にしばし見とれました。
 言葉で表現することは非常に難しい作業なのですが、何というかとてもストレートで直感的な絵を作り出すレンズです。レンズという一種のフィルターを通して独特な雰囲気を被写体に盛り込む、例えばローライのプラナー、レチナのエクターのような滑らかで艶のある持ち味とは正反対にあるような感じとでも云いますか、一切の光学的装飾や味付けをしないとでもいうのでしょうか、一つ間違えると無味乾燥の罠に陥りやすいスリリングな面も同時に持ち合わせているとも云えるような表現をするレンズです。
 私のように非力な写真ばかり撮っているものには手には負えないとは承知しつつも、すっかり感化され翌日カメラ屋さんに直行。
 有りました、有りました、しかも超安値!人気無いんですねこのカメラ。時代を感じさせるサークルアイ、その奥に引っ込んだ小さな口径の40mm/2.8のレンズ、全体に地味でパッとしないデザイン、なるほどこれでは食指の動く人はいませんね。

 何はともあれ、ナンマイダーさんの作品を目指し頑張って使ってみる事にしましょう。
 操作は至って簡単、フィルム感度をダイヤルで合わせ、絞りレバーを「AUTO」に、後はカメラが最適な露出を算出してくれます。とはいっても製造後40年を経ているので一応セレンメーターの精度を測り直すつもりで、ISO100フィルムを詰めカメラを一点で固定して感度設定ダイヤルにあるASA12から400まで全てを使って同じ被写体を撮ってみます。
 その結果やはり少し精度がずれているようで、ASA200辺りでいわゆる適正露出になるようです。
 ということはISO400を詰めるとASA800にセットということになるわけですが、このカメラはASA400までしかレンジがありませんので、最高フィルム感度はISO200までが限界ということになってしまいます。
 もう一つ、使い勝手ですが気になった点がありました。それはカメラとして一番肝心なホールディング、このカメラ程良い大きさなのですが微妙に持ちにくいと云うかシャッターを押し辛いのです。手の大きさには個人差があるので、断言は出来ませんが私の手は標準的な大きさのはずです。各レバーやボタンの位置は見た目には実にスタンダードなレイアウトなのですがこれが手に持つとまったくしっくりきません。ボディの大きさが中途半端なのかなぁ、あと何ミリどうこうの世界なのですが・・・この辺は実に微妙なものです。
 ということで、それなりに使いにくさもあるのですが、素敵な「キラッ」を求めて撮影に出かけましょう・・・。


参った、参った完敗です!

 ・・・いやぁ〜、このカメラを手にして早4ヶ月!ほとほと参りました。思うように言うことを聞いてくれません。
 といっても露出やピントがズレるということではなく、この光はこう撮りたい、あの影はあーしたいという意図に真っ向から反する絵にしてしまうのです。もう何本もフィルムを通しましたが、ことごとく裏切ってくれます。
 まるでこのカメラは意志を持っていて「お前ごときヘボにおいらを使いこなせるとでも思ってンのか、10年早いんだよ、思い上がるな!」と私をあざ笑うかのごとくなのです。
 「たかがボツボツリングの三枚玉EEカメラのくせに!」。はっきり言ってカリカリきています。「オイ!官憲コイツを取り締まれ!!」であります。 すべては自分自身のせいということが分かっているだけに更にカリカリしてしまいます。
 こんなじゃじゃ馬と付き合ったのは久しぶりです。仕方がありません、とりあえずは私の意に反してこのじゃじゃ馬EE Maticが勝手に写した写真をご覧ください。(あくまで私の意図は反映していません・情けない!トホホ)

 

EE Maticの作例です

今回の作例:モノクロは、KONICA PAN100をミクロファインで標準処理。
カラーは、Konica センチュリア200を純正現像。
共にNikon coolscan IVで取り込んだ画像です。

1

2

3

4

トップに戻る    一覧へ戻る