Panasonic C-D2200ZM

最後の最後で一発逆転!

 突然ですが、きょうのあなたはとてもツイていますね。
 今が朝なら多分、きょう一日良いことばかりで終始しますよ。そして、もし一日がそろそろ終わろうとしている時刻であれば、きょう一日のことを振り返ってみてください、どうですか、良いことばかりの楽しい一日だったでしょ。
「えぇ〜っ?朝からカ〜チャンの機嫌は悪いし、仕事ではドジを踏むし、昼飯に入った店で出されたざるそばは茹ですぎで喰えたものじゃなかったし、最悪だヨォ〜」だって?おぉ〜、それはそれは散々でしたね。
 しかし、しかしですよ、星の数より多くあるホームページの中からわざわざここをお選びいただき、更にこのページに辿り着けたのですからもう大丈夫、あなたはツイています! 一発逆転、汚名返上、起死回生、六根清浄、余裕綽々、邂逅相遇、このコラムを読み終わった後にはきっと「あぁ〜、きょうは得した、実にいい日だった」と思えるようになりますから・・・ホント。

 なぜですって?それはね「松下電器のC-D2200ZM」という世界中の99.999パーセントの人が知らないとてもマイナーな“20世紀最後に出現した埋もれた名機”を今日、これから知ることになるからなのです。
「松下電器? C-D2200ZMだぁ〜? なんだそれ?ポケットオーディオかぁ〜???」
 ほ〜らネェ〜、どれほどカメラが大好きなあなたでさえ知らない名前でしょ、う〜ん、まぁ、そう思われても仕方がないほど実に家電チックな商品名なので仕方がないのですが、実はカメラなんです。それもスタイルは一見すると平凡で何処にでも転がっていそうな典型的90年代スタイルのプラスティックコンパクトカメラ。

 もし、あなたがこのPuppy's Islandの古くからの愛読者さまで、以前にご紹介をした「ナショナルC-D700AF」というカメラの記事をご覧になっていらしたらこの「C-D2200ZM」という名称を見てピンと来た勘の良い方もおいででしょう。そうなんです、このカメラもあの全作動電気仕掛けの傑作カメラC-D700AFの系譜を引きずりながら更に進化を遂げた前世紀最後の電気仕掛けカメラなのです。
 わたしは、正直に告白しますと、あまり電気カメラは好きではありません。ここの読者さまであるあなたも多分、同じではないでしょうか。わたしが一番嫌う理由は、“プログラムされた露出を押しつけられる”からにほかなりません。これは写真を撮るという行動に於いてどのような仕上がりにしたいかを決める一番重要で一番の楽しみな部分をカメラの設計者が勝手に「この露出で行きなさいヨ」と取り上げられちゃうわけですから、何のために写真を撮っているんだか、いわゆる自分の写真を撮るという意味が半分以上薄れてきてしまいますね。
 しかし、私たちは毎日の写真生活の中で露出に気を配った作品的写真だけを撮っているわけではなく、記録ということを主にした写真も数多く撮っているわけで、そんなときはこの自動カメラが有り難い。
 パッと出会って、おぉっと感じて、即、パチッとなるわけです。そんな用途にピッタリ来るカメラも常に探しているんですが、とうとう見つけましたよ、それがこの「松下電器製のC-D2200ZM」というわけです。
 もう、その性能はありとあらゆる点で完成域に達していて、各社が銀塩カメラから手を引いてしまった今、わたしの中では、おそらくこのカメラが銀塩コンパクトとしての終極といっても言い過ぎではないかもしれません。

 この種のカメラ(シャツの胸ポケットに入れられて何処に行くにも必ず携行できる)としては僕の場合、何といってもやはり“最強のスナップシューター・コニカC35EF3”が常に首座を占め、XA2が来たり、リコーR1sが来たり、最近ではニコンミニ(AF600)までやってきました。このカメラはかなり魅力的な写真を生み出してくれるお気に入りには違いないのですが、28ミリという広い焦点距離はともすると写真がエキセントリックになりがちで、また少し気を抜くとパラパラと散漫な絵を作ってしまい、「気軽にオールマイティ」というわけには行かず、やや広角ということを“意識”して構えちゃうンですね。なので、普通に焦点距離35ミリというのはやっぱり使い易さでは一番なんですよ。

 さて、このカメラについてわたしが「終極」とまで言い切るワケをご紹介しましょうね。
 まずは、何と言ってもその「写り」です。一言で言い表すととても“贅沢”な写りをしてくれます。ちょっと抽象的な言い回しですね、ごめんなさい。ゼイタクとは、これがこんな小さなカメラで撮った絵かと思えるほど、途轍もなく繊細で濃密な描写をしてくれます。
 具体的には下の作例をご覧頂ければ一目瞭然なのですが、まず、隅々までまったくといって良いほど歪みを起こさず、そして暗くもならずに自然にシャープに写ります。もうこれだけで十分にコンパクトの写りの領域を越えているのですが、更に最短(60cm)から遠景までの尖鋭度がどの距離を選んでもピタッと決まります。これは文章で書くと当たり前のようなことなのですが、この手の小型カメラでは遠景の描写を犠牲にしているものがとても多いのです。これは、AFのモジュールが39段階のきめ細かな設定に追随してくれるためで、これ以前の形式では10数段が精一杯でしたから比較にならないほどの精緻さを持っています。

 また、このカメラは任意の位置で止められる35mmから70mmまでの2倍ズームの機能を備えているのですが、何処で止めても画質の変化(低下)を起こしません。まぁ、2倍程度の倍率なので、望遠側にしてもそれほど暗くなりませんので、あまり無理をしていないということなのでしょうね。
 で、ファインダーは当然、ズームに追随して変倍した見え方をしてくれるのは当然なのですが、このカメラが“松下電器”で作られた意味があるのはここからです。
 まず、カメラのトップ右側にある「ズームボタン」を見てください。「えぇ〜、ズームボタンってどれよ?右側の前はシャッターボタンでしょ、その後はフィルム枚数のカウンター表示の小さな液晶パネル・・・、ズームボタンって何処よ?」
 ほれ、よ〜く見てちょうだいよ、WIDE / TELEって表示があるでしょ、その液晶パネルに。そのパネル自体がズームボタンになっちゃっているワケよ。
「ひえぇ〜〜、このパネルの透明カバーがズームボタンになっているの?どれどれ・・・あれっ、ホントだ、こりゃぁ良いアイデアじゃないの、こんなの今までに見たこと無いヨ!」
 とにかく、このC-D2200ZMは物凄く小さいカメラでしょ、そこに2倍といえどもズームレンズを埋め込んじゃった!だもんで、設計者も各操作部の位置や大きさで凄く悩んだのではないでしょうか。そして出てきた結論が「うちの技術を持って臨めば、絶対に実現できる」的発想の液晶パネル付きズームボタン。
 前に紹介したC-D700AFのときはモータライズで持ち上がってくるフラッシュユニットやトップカバーの天上面にあるブライトフレームの採光窓など、口があんぐり開いてしまうようなマイクロエンジニアリングのオンパレードでしたが、こちらのカメラも相変わらず凄いワザを見せつけてくれます。


 そして、更に驚かされたのは何と何と、このカメラに装備されているフラッシュが、レンズの焦点距離と無段階に連動して発光角度を変えちゃうのです!いわゆる、モータライズド・ズームフラッシュというやつですね、これにはたまげました。今では、ズームレンズ付き高級カメラだと装備している技術ですが、このカメラが発売された1992年当時は、どこもやっていなかったことです。
 よく一眼レフなどで使用する外付けタイプのクリップオンフラッシュユニットでは、最近の高級なモノの中にズームフラッシュというのはあるのですが、それでも発光部内でレフレクター(反射板)を前後に動かすためにモーターを埋め込んだりしてなかなか小型化が出来ないものなのですが、このカメラには見事に小さなボディの中に内蔵されて収まっています。この装置にどのような細工が施されているのか、分解して覗き見したい衝動に駆られるのですが、多分、再組立が不可能になることが目に見えていますのでジッと我慢をしています。

 ちょっと話が横に逸れますが、ズームフラッシュにする意味というかワケを少し・・・・。
 例えば、同時代の他のカメラのようにレンズはズームするのにフラッシュが固定だとすると光のムダが生じてしまうのです。35-70mmの場合、WIDE側の35mmでセットしてしまうのが普通です。そうすると、35mmでは理想的な照射角でも70mm側では照射角はカバーしますが、ロスも倍以上で、光の到達距離にムダが出てしまいます。上手く調整してあげれば5メートルも届くのに、拡散でエネルギーを使ってしまい2.5メートルまでしか届かないとかね・・・、皆さまもそのようなことを常々体験されていると思います。
 そこで考案されたのが、レンズの焦点距離と連動して照射角度を変えてくれるズームフラッシュという技術です。しかし、これには照射角度を動かすための付加装置がたくさん必要になりますからどうしても小型化とは相反するのですが、このカメラでは信じられないほどに小さくまとめてあるのですよ。
 うん、ここまで作る側も努力してくれたカメラですから、あらゆる場面でそのフラッシュの効果を使って撮ってみることにいたしましょうね。

 さあ、どうですか、あなたもぜひ、このカメラを使ってみませんか? 誕生後10年以上経過していますが、パナソニックの銀塩カメラとしては最後期のタイプなので、松下電器の特約店などでは棚の奥に箱に入ったまま、眠っているかも知れませんよ。ぜひ、あなたの手で長い眠りから目を覚ましてあげてください。
 そうそう、名前をもう一度書きますね「パナソニックC-D2200ZM」というカメラです。実に覚えにくい名前ですが、ぜひ忘れないでくださいヨ。どうですか、最後の最後で一発逆転、邂逅相遇、良いカメラと知り合えましたね、ほらね、一日だったでしょ。

2005.11.16


C-D2200ZMの作例です

以下のモノクロ写真はネオパンSSをND-76で標準現像
カラー写真は、Kodak Gold200をフジのラボで現像したものを
Nikon COOLSCAN IVでネガフィルムを直接スキャニングした画像です。

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最初の一本目です、デフォルト状態だと日付文字がフルに入っちゃいます
モードボタンでのセットをお忘れなく・・・

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カラーも極めて記憶色に近いです。

今回も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
では、また・・・・

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