Beautyflex

「我慢できずにとうとう最後の一線を越えてしまった」の記

 35mmRF機「Beauty35Super」は透明感のある清々しい写りが大いに気に入って、今では常用カメラとなってしまいましたが、同じ太陽堂光機が作ったこの「Beautyflex」はどうだろうと、ウェブオークションで不動となってしまったものを手に入れてみました。出品者のコメントには「ピントノブ不動、シャッター不動でレンズもカビが付いているようです」とあったのでベンジンと過酸化水素水で何とかなるのではと軽い気持ちでいたのですが・・・。
 とりあえずピント調整やシャッターが開かないことにはどうしようもないので、バラして洗浄しました。思った通り油脂による固着でこれは難なく改善しました。
 しかしレンズの方に大問題がありました。確かにテイクレンズとビューレンズの全てにカビが発生していたのですが、両レンズの前玉にかなり多くのクリーニングマークがあり、おまけにテイクレンズの方には全体の80パーセントくらいに白い膜が張り付いていいるのです。
 出品者はこれを見てカビと判断したようですが、これはカビではありませんね。オキシドールに一晩つけても溶剤に漬け込んでも何の効果もなく一向に改善しません。最後には恐る恐る上等なセーム皮で1時間ほど擦ってみましたが膜は消えませんでした。
 さぁ、どうしたものでしょう、これはたかさき先生曰く「やってはいけない禁断の技・レンズ磨き」に及ぶほかはないようです。 とうとう最後の一線を越えなければならないのでしょうか、何だか失敗しそうだなぁ・・・、成功の確信や自信など全くありませんが他に改善方法が見いだせないので、何事も経験と思いやってみることにしましょう。

 まずはレンズを磨くための研磨剤の調達です。たかさき先生は酸化セリウムを用いられて成功されたようですが、同じものを使って、こちらは失敗したとなるとあまりにも悲しいので、違う研磨剤を使ってみることにしました。
 用意したのは「緑色炭化珪素」というレンズ研磨に使われているらしい微細な粉体です。初めての作業で結果の予測が全くつきません。
 いきなり擦って更に状況が悪くしてしまうこともありますので、引き出しの奥にあった虫眼鏡のレンズを試しに磨いてみることにします。これもかなり痛んでいて凸面のトップがうっすら白く見えるほど傷が付いています。
 この材料の説明文によると食用油にこの粉を混ぜて5分程度磨けという指示です。本当にそんなもので綺麗になるのでしょうかねぇ・・・。
 指示通りに虫眼鏡を5分ほど磨いてみました。洗剤で油分を落とし良く乾かしてから光に透かして状態を見てみると、完全にクリアーとはなっていませんが明らかに作業前よりはキズが見えなくなって綺麗になっています。少なくとも磨いたことにより因り深いダメージを与えてしまう心配はないようです。
 今度は更に油ではなく水を使って磨いてみることにしました。やはり同じように5分程度磨いて状況を見ます。
 うぅ〜ん、これはいいですねぇ、深いスクラッチが4、5本残っていますが他の小傷は綺麗になくなっています。これなら私でもレンズ研磨に使える確信が持てました。

 早速目当てのレンズを磨きます。作業性と後処理のことを考慮して最初から水のみで始めました。
 結果ですがあれほど頑固にこびり付いていた白い膜はあっけなく5分も掛からずに磨き取れてしまいました。これでレンズとしてはクリアーになったのですがクリーニングマークはまだかなり残っています。このままで使うと乱反射でコントラストは多少落ちそうです。
 折角なので、調子に乗ってもう少し深追いしちゃいましょう。更に10分ほど磨き続け、光に透かして見ます。
 ほぉー・ほぉー・ほぉー、かなり綺麗になってきましたよ、レンズの外周に沿って2、3本の傷は見えますが、肉眼で見る限りは非常にクリアーです。あまり深追いしてレンズを変形させてしまっては元も子もありませんので、ここで終了し試写 してみることしましょう。

 Beautyflexというカメラはバリエーションが多く、レンズにもいろいろなものが使われています。私の機体は「Biokor」という富岡光学製と思われるテッサータイプのレンズが搭載されています。
 また他の機種に関しては手持ちがないので判りませんが、このカメラのファインダーはたいそう暗く、日中の野外でも難儀するほどです。まぁレフミラーの劣化もかなり進行しているせいもありますが、それにしても暗いなぁ・・・。

 さてこうして綺麗に甦ったレンズで撮ったのが今回の作例です。
 Beauty35Superと同様、透明感や清々しい雰囲気の描写はこのBeautyflexでも再現できましたでしょうか、ご覧ください。

白い膜も取れてキレイになりました。


研磨剤「緑色炭化珪素」のパッケージ、フィルムケースくらいの容器ですが
これ1本で50枚くらいのレンズが磨けそうです。

2003.12.2


Beautyflex type Dの作例です
フィルムはAgfa APX100、D-76で標準現像処理、Canoscan D2400Uで取り込んだ画像です。

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