anscoflex II


左の車も、ローウィのデザインした名車「スチュードベイカー・ハードトップ」。
両者共にカッコイイですね。こうゆうのを「COOL」というのでしょうか?

どう見てもトースターでしょ!

 20世紀の中頃、アメリカ経済拡大に多大な影響を与えた「レイモンド・ローウィ」という工業デザイナーがいました。
 彼が活躍した1920年代末から60年代まで、ローウィの関わった仕事はことごく成功しましたが、それは彼の仕事上での信条であった「美しき、良きデザインは機能に沿ったもので、コスト高を招くものではない」という理論が常に根底にあり、それを依頼者である産業界や消費者である市民が理解し支持したんでしょうね。
 ローウィがデザインしたもので我々日本人でも良く知っているものには、ラッキーストライクタバコの赤丸パッケージ、グレイハウンド長距離バスのボディデザイン、石油会社シェルやエッソのロゴマーク、今ではなくなってしまった名車スチュードベイカーのカーデザイン、米大統領専用機エアーフォースワンの機体マーク等、その他、家電品や鉄道の機関車に至まで、あらゆる分野に登場してきます。
 ちなみに日本専売公社のタバコ「ピース」のハトのデザインもローウィに依頼したもので、発売当初は高級タバコとして高額な値段設定をしたにも関わらず、モダンでスッキリしたデザインが好評を呼び、通 常の3倍の売り上げを記録したそうです。
 そんなローウィですが、当然カメラについても何点かデザインしていて、その一つが今回の主役「アンスコフレックス2型」なのです。最初に目にしたとき、このデザインには驚きましたね。カメラというより、女の子がおままごとで使うオモチャの家電品といったイメージです。どうみてもトースターや洗濯機を想起してしまいます。そこにまた60年代、アメリカで大流行したツートーンのパステルカラーで仕上げものですからカメラのイメージは一切せず、どう見てもトースターですよ、これは。
 一見、プラスチック製のように見えますがブリキをプレス加工した鉄板で出来ていて、所々に樹脂製の小物パーツが使用されています。
 このカメラが世に出た195年代、プラスチックはどんな形にも成形できる夢の新素材だったんです。だからプラスチックに憧れたんですね。それでこんないかにもプラスチックで成型したようなデザインになったのではと思います。現在のプラ成型品にチタンカラーを塗色する発想とそう変わりませんね。

 話がまたしても横に逸れますが、この頃のアメ車にはシビれましたね。ローウィがデザインしたスチュードベーカーは勿論のこと、フォードフェアーレーン、シェビーベルエアー、ナッシュメトロポリタンなど、まさにツートーンのパステルカラー真っ盛り。外装色とドアトリムやシート地、ステアリングが同系色にまとめられていて・・・それはもう、ため息が出るような美しさでしたよ。 カーラジオからはビーバップのロックンロールが開けはなったウインドウ越しに流れてくるんですよね。いい時代でしたね。
 ローウィはこのカメラにもそんな時代の流れをしっかり採り入れていますね。グリーングレーのボディにアルミシルバーでまとめアクセントに細く平体のかかったモダーンな字体のロゴタイプを赤で1行・・・実にうまいですね。
 更に極めつけがチープではありますがビニール製のストラップ、ボディよりやや濃いめのグリーングレーで完全にボディと調和しています。ここまでされたらアメリカの消費者はイチコロです。カッコイイカメラということで飛ぶように売れたことでしょう。

 さて、これは一応カメラなので(笑)機能に関して少し見てみましょう。といっても殆ど機能といえるような上等なものは何一つないんです。
 巻き上げたらシャッター押すだけ・・・スタイルは二眼レフの呈をなしてはいますが、これって全く必然性がないんです。
 固定焦点の固定絞り、シャッターは勿論単速、これで全ての写 真を撮ろうというのです。実に鷹揚というか寛容というか・・・ で、これではちょっとナーとでも思ったのか、この2型では、ボディ前面下部に近接用レンズを1枚追加するためのダイヤル(左)と光量オーバーを防ぐためのYフィルターが追加出来るダイヤル(右)を設けてあります。
 まあアメリカという国は人種のるつぼでもあり、必ずしも米語のみで通じるとは限らないわけで、となるとややこしい仕組みをゴタゴタ説明書に書いたところで、みなが理解できるわけもないのでしょう。従って簡単・簡便ボタン一発、これでOK方式がもてはやされたんですね。

 撮影の準備にはフィルムが必要ですが、このカメラは細軸のブローニー620タイプを使います。このタイプは現在製造されていませんので120ブローニーフィルムを巻き替えて使用します。
 巻き替えは極簡単、先ず普通 のブローニー判カメラ(巻き止めのないタイプ)に120フィルムをセットして全てを巻き上げてしまいます。それを取りだして、今度は暗所で620の細軸スプールに再度巻き取っていきます。
 これで完成、簡単でしょ。但し、この際に、きつく巻き取ることがコツです。巻き取りがゆるいと光線漏れを誘因します。
 フィルムが準備できたら装填して赤窓に1が出るまで巻き上げますが、左側面 にある巻き上げダイヤルをコキコキ(45度しか動きません)やりながら裏面にある赤窓にフィルムナンバーの数字を表示させます。この巻き上げダイヤルを回すことによりシャッターボタンもポンとでて、シャッターがセットされます。
 次に前面の鎧戸のようなレンズカバーを上げていくと同時にファインダーカバーが自動的に左右に割れて開きます。このカメラの見せ場というかツボはこれですね。実に合理的で見事な仕組みです。
 こうしてセットされると、前カバー・左右カバーが共に協力して立派なファインダーフードを組み上げてしまうのです。
 おお〜っ、何という卓抜したアイデア! この辺にローウィという人の脳ミソが並みじゃないことを証明してみせます。
 ファインダーが開くと四角い大きなレンズがはめ込まれていて、そこにとても明るくて見やすい対象が映し出されます。ヘリコイドなんて気の利いたものはハナからありませんので、撮りたいものがファインダーに見えたらカチャ、見えたらカチャとやるだけです。実にお気楽そのもの。たまにはこんなカメラもいいもんです。でもちゃんと写 ってんのかな〜・・・?


 撮影スタンバイの状態です。肝心な撮影レンズの方が小さいんです。 下の2つのダイヤルは左が近接撮影用、右が減光用、操作できるのはこれのみです。初期型はこのダイヤルすらありません。
 側面の赤いボタンがシャッターすが、この位置は最悪です。横方向に押すというのは いただけません。プッシュの重さも 絡んでブレ写真量産必至です。 さりとてケーブルレリーズのネジ穴なんてないしなぁ・・・

2003.6.3

 

アンスコフレックスを使ってみました。

試写の作例なので、スキャン時にアンシャープマスク等の画像処理は加えていません。
モノクロはT-MAXをD-76自家現像、カラーはセンチュリア100をLPLの現像キットで自家現像です。


石の道標までは1メートル位、後方の灯籠にフォーカスが合っています。
この様なときに、近接用レンズの出番だったんですね。最初の1本目だったので要領が解りませんでした。


決して上等とは思えないレンズですが、周辺の写りやコントラストもなかなかです。
旗の質感やドアの金属部分の質感もいい感じ。ちょっと以外でした。


とりあずは、そこそこに写りました。使っていて感じたんですが、今のレンズつきフィルムと使用感が
ピッタリ同じです。ピントも露出も全てカメラ任せなので・・・
ペラペラブリキとアルミで作ったボディなので、重さもぜんぜん気になりません。
全自動(笑)で使えるので、TLRとはいえスナップで使えますよ、このカメラは・・・。

私もお世話になっているJFC(Japan Family Camera)会の
怪鳥(会長)さまのアンスコフレックスレポートです。
併せてご覧ください。

http://arihiroa.hoops.jp/ansco_1.htm

こちらはたかさきさんのレポート

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