Canon AF35M

「国 道」

 横浜と川崎の中間、鶴見というところ基点にして海へ向かって真っ直ぐに走る線路があります。JR鶴見線、開業は大正15年と言うことなので、結構古い鉄路なのであります。総延長は10キロ弱と実に短い、あいだに五つの駅を設えて終点は「海芝浦」という駅。ここは駅名が示すとおりの、ほとんど海の上みたいな感じの駅ですが、ちょっと面白いのは、この駅、ボクのような一般人は改札を出て外には行けないのであります。何故かというと、改札から向こうは「東芝」の工場敷地で、いわゆる社有地。なので、この駅は東芝関係者専用と言うことになってしまうんですが、このような私有地に鉄道入って行くのは工場の引き込みだったらまだしも、駅が入って行っちゃうケースって日本中探してもココだけじゃないですかね。東京でもないのになぜ芝浦という駅名つけたのかも、そこが「東京芝浦電機株式会社」の中だったからなんですね。

 しかし、今回の話題はこの珍しい駅のことではなく、始点の鶴見を出て一つ目の駅「国道」についてです。国道と書いて、そのまんま「こくどう」と読みます、なんで「国道」かというと駅の真横に国道(東海道)があるから、と言うそれだけのことなんですが、なんとこの駅はその国道と踏切で交差せずに立体で交わしているんです。いやいや、今でこそ大きな道路と鉄道はどこでも踏切など置かずに立体で交わっていますが、今から80年近く昔の昭和5年にその発想で作ったのですからちょっと感動しますよ。そして、さらなる感動はその駅が当時のまんま、今でも立派に使われていることです。開業当時は、今ほどの道路網整備が出来ていたわけではなく、国道といわれるものも全国で50本前後だったのではないでしょうか。自動車が行き来できる国が管理する道路は当時としても近代化のシンボルで、たとえ、駅名にしたところで、むしろ先端的な感じさえして、なんの違和感もなかったのでしょうね。
 さて、この国道駅、立体高架で作ったことにより、いろいろと面白いことが派生してしまいました。空中に線路があるわけですから、その下が当然、空間として空くわけですね。当時の国鉄だっていろいろと有効利用を考えたのでしょうけど、結果としては、ほとんどのスペースが住宅となっているんです、分譲でもしたのでしょうか?よく、ガード下には安酒を振る舞う飲み屋さんが居着くのが定番ですが、ここはズラァ〜っと住宅がならんでいます。また、それらを仔細に観察すると一軒一軒がまったく違う間取り(窓の位置からの推測で)と建築材料、意匠で作られていることから、そこにお住まいの方が独自にこしらえたものと推測できます。一応、コンクリートの橋脚間に家があるのですが、電車が通過する度の振動と騒音はかなりのもでしょうね。しかし、私の経験(15歳までは線路際に暮らしていました)では、この振動と騒音は生活の一部になってしまい、当事者は全くと言っていいほどに気にならなくなってしまうものなのですがね。

 今回は、まさかこんなすごい昭和が隠されているとは知らずに、お散歩中の通りがかり程度にオートボーイで撮影したものですが、もう少し通って、しっかりした記録として再度、撮影してきたいと思っています。
 使用したフィルムは、タイトル写真にあるようにサムスルさんが調達してくださった中国製の「SANFA Pro XL」というISO100のものでしたが、現像してみると、コマ番号の中間になんと堂々と「Lucky SHD 100」という印字がもろに浮き上がってきました。ほとんど、カールしないはずのラッキーフィルムですが、これは強烈にカールしました、解像もシャープネス不足気味で粒子も幾分暴れていますので、使用期限が相当に過ぎているのではと推測しています。もちろん、このパッケージには十分な使用期限を余してはいましたが・・・。いったい中国という国は・・・!

2006.11.11


1. 駅舎全体、JRの看板の下が駅への入り口、手前の道路がいわゆる「国道」
最上階のプラットホームのすぐ下は、いきなり住居部分
ここは現在、かなり荒れ果てていて空き家もある様子・・・

2. 入り口を入るとすぐに改札口が、といってもここは無人駅ですが
真っ昼間の1時過ぎですが、中は照明が少なくものすごく暗い、いかにもショウワ

3. 改札を出て国道側とは反対の方へ行くと、このような真っ暗な荒れ果てた
アーチアーケードが続きます
通路の両側はかつてお店があったであろう痕跡が少しは残っています
釣り船やさんの詰め所があるのは、100mほど先に鶴見川の舟溜まりがあるから
非力なオートボーイのフラッシュが目一杯頑張っていますが
ISO100なので3mほどしか光が届かない
再撮必至ですね、これじゃ・・・

4. おっ、出口近くにやっと1軒だけ焼鳥屋さんを見つけました「やきとり国道」
しかし、時間がお昼なのでまだ開いていません
ここでツクネ片手に一杯やりたいナァ〜

5. 表に出て外側に回ると、住居がびっしり・・・・

6. 窓の位置や高さが微妙に違っています
材料も木造あり、モルタルあり、トタン葺きありと千差万別
じつに個性的!

7. 反対側に回っても、やはり同じ状況が続きます
何十世帯がいらっしゃるのでしょうか・・・

8. 国道口とは反対の出口に出ると、「魚河岸通り」に
駅から延々200mほどは魚屋さんが道の両側にびっしり
早朝からお昼前くらいまでお店が開いています
ご覧の通り1時を回るとシャッターが下りてしまいます
こちらも開いている内にもう一度来なきゃ
やっぱり、再撮、再撮・・・

みなさまもご近所をお通りの際はぜひ一度
あっ、お時間が許せばついでに「海芝浦」まで・・・

「あれっ、これで終わりかよ、このカメラのこと一言もいってないじゃん!」
と、お思いでしょうがこちらでちょっぴり触れていますので
そちらでご勘弁を・・・・


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