Fujica 35SE

ファインダーのプリズムには感動!

 1959年(昭和34年)この年、ソビエトの無人ロケットが人類史上初めて月面に到達したんですね。
私は当時10歳の小学生でしたが、いくら地球に一番近い星とは云え月も宇宙に浮かぶ天体であることには代わりはなく、そんな遠い彼方まで人類の手が届いたことに子供ながら驚いたものです。
 現在では、計画の初めからスパコンを駆使してロケットの設計から軌道計算、月面 着陸、帰還までを短時間で計算処理できることでしょうが50年近く昔の稚拙なコンピューターではこの膨大な計算を何年も掛けて延々としていたんでしょう。
 私はといえば少年科学雑誌の巻頭グラビアに掲載された月の生物の想像画を真剣に見ながら説明文を読んでは実存を信じ切っていましたね。日暮れ時、銭湯からの帰り道に東から上がってきた大きな満月を凝視しては様々な想像を膨らませていたものでした。
 私がそんな想像をしていた頃、この「フジカ35SE」が誕生したんです。
 フジカは1957年(昭和32年)に初の35ミリカメラ「Fujica 35M」を完成させているのですが、この初号機からシチズンMLTという1/1000秒が切れる先進のシャッターを搭載していました。レンズの口径が大きくなるにつれシャッターも高速が要求されてきたわけです。因みに35Mを1/1000秒、絞り2.8の開放で使うとEV値で13辺りですからネオパンSSで充分実用範囲です。
 フジカとしては2代目になるこの「35SE」の凄いところは、カメラとしての完成度が非常に高いことです。大抵国産カメラの場合、初号機、2号機辺りまでは明らかに「はは〜ん、ここは妥協しちゃったなっ」というような部分が二つや三つはあるものですが、このフジカに関する限り初号からまったくそのような妥協の痕は見いだせません。
 初代の「35M」もしっかりとした作りで操作も非常にスムースで完成度は充分高いのですが、この35SEになって更に各部が洗練されて素晴らしいカメラに仕上がっています。
 その一部を紹介しますと、先ずファインダーが大変明るくなり見えが一回り大きくなって二重像の分離が更にクッキリしています。構造も高価なプリズムを2個互い違いに配置した高級なもので、トップカバーを外して中を覗くとその作りの上等さにしばし見とれてしまうほどです。
 もしこのカメラをお持ちでしたら是非ファインダーを再度覗いてみてください、野暮なフレームなどに一切見えず隅々まで歪まず綺麗に見渡せるでしょう、ウゥ〜ム何て素晴らしい!またアルバダ式ファインダーのカメラもお持ちでしたら見比べてみてください、このカメラのファインダーがいかに素晴らしいかお解りいただけると思います。レンジファインダーとはここまで作り込んでこそ言えるのではないでしょうか。これと同じものを現在作るとしたら幾ら位 のカメラになってしまうのでしょう、10万円以下ではちょっと無理なのでは・・・。
 次に巻き上げレバーの感触もグッと良くなりましたね、初代は少しギクシャクしたところがありましたが、本機ではテンションの掛かり具合が終始均一になり大変スムースになっています。ほんの2年ほどの時間差なのですが、ギアやカムなどの工作精度が格段に向上したことが分かります。
 このカメラになってセレン光電池による連動露出計が装備されて操作が一層楽になりました。
 使い方は非常にイージーでフィルム感度をセットし任意のシャッター速度を決めます、次にトップカバー右端にあるメーター指針をを見ながら絞りリングを回して指針がセンターを示す位 置に調整するだけです。もし補正をしたければ指針をちょい左でオーバー、ちょい右でアンダーになります。そしてセットされた状態で視写界深度を変えたいのならシャッター速度リングを回すと絞りも連動してシフトされます。
 この仕組みを提供しているのは「シチズンMLT」というシャッターですが非常に明快で使い易さは抜群です。

 


凝った作りのファインダー、左端には巻き上げ用のラックギアも見えます。


鏡胴裏側、手の込んだ絞り羽はどの開度でもほぼ円形を作ります。

 このカメラにはまた2種類のレンズが用意されていました。
 一つは4群6枚のフジノン45mm/f1.9(\24,000)、もう一つは4群5枚のフジノン45mm/f2.8(\19,800)。
 両方とも使ってみましたが、45mm/f1.9の方は以前にご紹介した「35-EE」と殆ど同じ、というより同じレンズではと思えるほどに違いがでませんでした。
 ですので今回の作例は45mm/f2.8のレンズを搭載したカメラでのものをご紹介することにしますね。モノクロの5,6,7はf2.8の開放で撮ったものです。

 

HIROAさんの報告 

2003.6.18

 

Fujica 35SEの作例です

以下の写真は、KONICA JX400をLPL PRO現像キットで
モノクロはプレストをエヌエヌシー社のND-76で標準現像処理。
Nikon Coolscan IVでネガフィルムを直接スキャニングした画像です。

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